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”ツンデ・レデン・刹ッ”の第5幕

第5幕   陰謀



「俺が教えることは、もはや何も無い」

――――――モグモグ……

「あとは、レデンが自分自身の力を信じるだけだ」

――――――ゴックンッ

「了解ニャッ!」

決戦当日。
午前中は本番のためのリハーサルに使ったおかげで、レデンのメイドレベルは最強に近い。隙が無いとは、まさにこの事だろう。

「昼飯を食べ終えたら、すぐに出発だぞ」
「もう食べたニャっ」
「なにっ、俺も急いで食べなければっ」
「ご主人様は何でも遅いニャ~」
「何を言っているんだ。遅い方がいいんだぞっ」
「レデンは早い方がいいニャ~」
「マジでッ!?」

今日も、レデンのおかげで楽しくなりそうだ……。

――――――――――☆

メイド喫茶“テラメイド”。その内なる世界と外とを繋いでいる扉を開ける。

――――――カランコローン

「あっ、和也様っ、お持ちしておりました」
メガネをかけたメイドさんが昨日と同じようにそこにいた。
「……まだオーナーは来ていないのか?」
店内には客は誰もいないようだ。今日は店を休みにしたのだろう。
「はいっ。でも、もうすぐで来られるようです」
メイドさんは異様にニコニコと笑っている。

「……何だか嬉しそうだな」
「えっ、そう見えますか?」
メイドさんはニヤケながら両手で自分の顔に<ペタペタ>と手を当て、自分の表情を確かめだした。だが、すぐにその動作を止めた。
「あっ、この子が私たちの代わりにメイドさんの役を引き受けてくれたんですね?」
 メイドさんがにこやかに見つめた先は俺の横……、で俺の袖を掴みながら立っているレデンだった。レデンの頭には白いネコ耳、お尻には白くて長い尻尾がいつものように生えている。だが、今日のレデンはいつもの短パンにTシャツのようなリフレッシュな姿ではなかった。その身を包む物はメイド服。しかも、俺様特性のネコの風味を優しく閉じ込めたネコバージョンのメイド服ッ。今のレデンの姿を見た者は、“これ以上のネコ耳メイドさんなんてこの世に存在しない”と必ず断言しちしまうぜ?
俺の作ったメイド服のあまりの出来の良さに感心している間、メイドさんがレデンに駆け寄っていた。
「わぁっ、とってもカワイイですっ。コレ…、良かったら食べてね」
レデンの目の前に差し出されたものは、削る前のカツオ節の塊。
「……最高級品よ」

何故、説明を付け足す?

「ご……ご主人様……」
「んっ?」
見ると、レデンの体が<ガタガタブルブル>と震えていた。しかも、手に持ったカツオ節をじ~~~~~っと見つめている。このときは、レデンの体の調子でも悪くなったのかと心配してしまったぞ。だが、そんな心配なんてする価値は無かったな。
レデンが呟く。
「……コレからはカツオ節の匂いがするけど……、でも! でも! これはレデンの知っているカツオ節じゃないニャ! コレは一体何ニャッ!? カツオ節塊伝説?」
意味の分からない言葉を発しているところを見ると、恐らくレデンはカツオ節カルチャーショックに混乱しているようだ。だから俺は、レデンに新たな知識を注入してやることにする。

「いいか、よ~く聞けよ……。レデンの知っているカツオ節は、今レデンが手に持っているものを、うす~~~くした物なんだ」
「な……なんだってニャ~ッ!?」 (レデンの後ろにガーンという文字が浮かび上がる)
 自分の知らない世界の秩序を知り、レデンはその場に手を突きうな垂れてしまった。
「じゃあ、レデンは今までうす~~~くなったカツオ節を食べさせられていたんだニャ?」
「まぁ……、そうだな……」
「レデンはずっと騙されていたんだニャ?」
「いや……、違うと思うぞ」
「ご主人様はこの事を知っていたのに、レデンには秘密にしていたんだニャ?」
「まぁ……、そうだが」
「ご主人様は無知なレデンを見て、“へっへっへっ…、このバカはうす~~~いカツオ節を嬉しそうに食べたやがるぜ、本当にバカだな”とか、思っていたんだニャッ!?」

俺の気のせいだったらいいんだが、どんどん殺気立っていってないか?
とりあえず落ち着かせよう。話はそれからだ。

「ちょっと待て、いいか良く聞け。レデンが持っているそれは、薄くしないと食べられないんだ」
「……本当かニャ?」
疑心暗鬼の目でじっと見つめられた。
「試してみればいい」
俺の言葉を聞いて、しばらく俺とカツオ節を交互に見比べていたレデンだったが、
「試してみるニャ」
そう言って口にカツオ節を咥えた。

――――――ガブリッ! ボリボリボリ……

「美味しいニャァァァ~~~ッッ!」
歓喜の叫び声が店中に響き渡った。
「何でだよっ!? 普通食えねぇだろうがッ!」
「この歯ごたえ! そしてこの香り! 全てにおいて他を超越しているニャ! ご主人様の嘘つきィィッ!」

――――――カランコロ~ン

「レデンが喜んでくれて俺は嬉しいよ。だからさ……、俺の首に突きつけられているお前のこの鋭い爪を早く離してくれないか?」
触られている感覚で分かるんだが、レデンの鋭い爪が俺の首の頚動脈を的確に捉えていた。って言うか、ちょっと刺さっている。
「ご主人様、嘘はよくないニャ。でも、今日のところは許してあげるニャ。コレも全てカツオ節のおかげなのニャ。ご主人様はカツオ節に命を救われたニャ」
レデンが言っていることは理解不能だが、とりあえず目はマジだった。

――――――「おや? お店を間違えてしまったかのぅ?」

突然、老紳士っぽい声が店に広がった。
『え…?』
店内にいたメイドたちが、一斉にその声の主に顔を向けた。俺も見ようとしたが、レデンの爪が首に食い込んでしまったので死ぬかと思った。
まぁ、だからそんな中で一番早く反応してみせたのは、メガネを掛けているあのメイドさんだった。
「オーナー! ようこそいらっしゃいましたっ!」
 元気良く声を出し、急いでその老紳士に駆け寄っていった。俺たちの行動を周りで傍観していたメイドさんたちも、自分達の職務を思い出したのか、メガネを掛けたメイドさんの後に続くように老紳士へと駆け寄って行った。
「はっはっはっ、元気のいいお嬢さんじゃのう」
これはレデンに対して向けられた言葉なのだろうか? 何故なら、俺の首を押さえているレデンの爪が<ピクッ>と動いたからだ。って、ちょっと待て。これ以上深く食い込んできたらマジでヤバイんですけど。
そんなデンジャラスな状況に陥っている俺になんて気が付いていないのか、その老紳士っぽい老人がレデンに近づくのが感覚で分かった。
「ふむ……、いいメイド服じゃのぅ」
何をいきなり言い出すんだこのジィさん?
「おっとっと……」
 突然、レデンの体が跳ね上がったかのような動きを見せた。
「なっ、なっ、なっ……」
俺には分かった。このジィさん……、レデンのお尻を撫でやがったな?
当然のようにレデンは、
「ナニするニャッ~!」

――――――ドゴォォォッ!

という行動を取った。
「はっはっはっ……、これがツンデレというやつかね?」
「いえ、ただオーナーがセクハラジジィなだけです」
「はっはっはっ……、サユリちゃんは冷たいのぉ」

――――――ガシッ!

「おや?」
気が付くと、俺はクソジジィの胸倉を掴んでいた。体が勝手に動いてしまったというのかな。そのまま敵意をむき出しにしてクソジジィを睨みつける。
「てめぇ……」
「なんじゃい若造」
クソジジィも負けじと睨み返してきた。この野郎……、俺でさえまだレデンのお尻に触ったことが無いって言うのに……、許さんッ。
瞬時にクソジジィの特徴をサーチ。服装は黒いスーツに黒いシルクハット。正に老紳士という固有名詞が良く似合う姿だ。だが、体格はヨボヨボ。とっくに定年を過ぎているんだろうな。てめぇみたいなオイボレジィさんには浴衣の方が似合っているぜ。
 情報収集終了。目標は俺より弱いッ!
「レデンの物は俺の物! レデンの体もオレのモノだぁ!!」
体が熱くなってきたッ。うぉぉぉ~っ、秘奥義、右コークスクリューフリッカーパンチッ!!!。
「ふんっ」

――――――ドカッ! ……ピシィ……!

 イヤな音が突き出した拳から聞こえてきた。
「なにっ? 俺のパンチを受け止めただとっ!? どういう体をしているんだこのジジィ! 拳にヒビが入ったぜッ」
「老いたとはいえ、貴様みたいな若造にはまだまだ負けんわい!」
血走ったクソジジィの目が俺を睨んで離さない。
「こうなったらレデン、お前の出番だ! このクソジジィを萌え死させるんだっ!」
「了解ニャ! フーッ!」
レデンもさっきのことでクソジジィに殺意を抱いていたようだ。
「あ……あの……、萌え死させたらダメですからね……?」
サユリと言う名のメガネをかけたメイドさんが何か言ってらぁ……。
「ふんっ、ワシを萌え死させるじゃと? 歯がゆいのぉ……、はっはっはっ……」
ムカツクことを平気で話すこのクソジジィは殺すしかないと思ったが、今はガマンだ。黙って、クソジジィを店の中央に位置するVIP席に案内した。
「うむ、ご苦労さん、ウェイター」
 
――――――プチッ

 あっ、コレは俺の脳内に張り巡らされている血管の内の一本が、ストレスの暴発によってブチ切れたときに発した音だ。ただ今、脳卒中になりかけ5秒前ってところだ。
「(このクソジジィ…!)」
偉そうな態度に最早限界かと思ったが、人間の理性って素晴らしいな。
「……どう致しまして……」
 何とかこらえた。だが、すぐにレデン達のもとに戻らなければ俺が俺じゃなくなりそうだったので、ダッシュで戻った。
「おいっ、サユリさんという名のメイドよ!」
「はっ、はい……」
「話に聞いていたジジィとはちょっと違うようだが、俺様の計画は変更無しだ。黙って見ていてもらおう」
「はっ、はい……、分かりました……」
その言葉を残すと、メイドさんは駆け足でお店の奥の方にあるシャレたドアを開け、そのまま姿を消した。黙って見ていてもいいって言ったのに、どうして出て行ったのかは分からないが、これで邪魔が入ることは無いな。
「おい、クソジジィッ!」
<ビシッ>と、そのまま指の先から光線でも出せそうな勢いでクソジジィを指差した。
「この俺様が育て上げたツンデレ子猫娘のメイドバージョンが、今から貴様に究極の萌えを体感させて、てめぇの人生を壮絶な萌え死で終わらせてやるぜッ!」
俺様の挑戦にクソジジィは、
「ほう、ワシはそれが楽しみで来たんじゃ。まぁ、せいぜい頑張ってみたまえ。はっはっはっはっ……」

――――――「ブチッ」、「ブチィッ」

あっ、今度のコレは俺様とレデンの脳の血管が切れた音だ。
「ご主人様……、今日のレデンは何だか燃えているニャッ」
「ほう、奇遇だな。今日の俺様も最高に萌えているぜっ!」
 初めてレデンと意見が合った様な気がした。

こうして、熾烈な戦いの火蓋が上がったのだった。



そしてここはテラメイドの奥に位置する応接間。暗い部屋でボソボソと小声で呟いているのはメガネを掛けたメイドさん。何と言っているのか聞いてみよう。耳を澄まさなければ聞こえないような小さな声。
「くっくっくっ……、私の期待を裏切らない何でも屋だわ……。やっぱり彼らを雇って正解だったわ。……くっくっくっ……、ヒャァ~ッハッハッハァ~!」

――――――ガチャ、「何か変な叫び声が……?」

<ビクゥ>とアホみたいに驚くのはメガネを掛けたメイドさん。
「ど、どうかしたの?」
「いえ……、何だかとっても気持ち悪い変な雄たけびが聞こえたような気がして……」
「えっ、私には何も聞こえなかったわよ? そ、それよりもオーナーの様子をしっかりと見守っておいてね」
「はい。サユリさんはどうするんですか?」
「私は……、影から応援することにするわ」
「そうですか、じゃあ私行きますね」
「うん、お願いね」

――――――ガチャリ……

 今入ってきたメイドさんが出て行くと、すぐにまた何かが聞こえてきた。
「私は影から応援しているわ……、ふっふふっ! げほっ、けほっ、オーナー死ね! けほっ……」

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この記事に対するコメント

勝手に次回予告

オーナーの魔の手が、レデンに迫る! 勇者レデンは魔王オーナーを倒し、メイド喫茶に新たな風を吹かせることができるのかっ!? マテ次回っっっっっっっっっ!!

嘘でつ。ゴメンナサイ(つ∀と)
シミコンさんの小説は勢いがあっていいですなぁ~。
あっしは失速寸前で警告ランプがペカペカ光ってますよ…orz

【2006/02/24 23:34】URL | きつねこ #-[ 編集]

萌え技・・・、今回はメイドさんの萌え技を募集します!
とんでもない技をお持ちの方は、ぜひコメントを書き込んでください!

【2006/02/25 11:05】URL | シミコン #-[ 編集]

萌え技は教えられないな。

技と言うものは自分で編み出すのさ。

とりあえず、コレ面白いから早く続き書いてクレwwwww

【2006/02/28 20:31】URL | ぐっちょ #-[ 編集]

おいおいw クオリティタカスwwwwwwwwwwww

【2006/02/28 20:49】URL | ながれ #-[ 編集]

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