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”ツンデ・レデン・刹ッ”の第13幕

あぁ~、今日で春休みが終わっちゃいます~。残念です。
明日は入学式です。めんどくさいです。
さて、ついに学園編がスタートしました。で、早速ありえない出来事に巻き込まれる和也達ですw 僕だったら失神しちゃうような出来事ですw

では、第13幕 スタート!



第13幕  萩原学園



「バカ兄貴…」

――――――モグモグモグモグ…

「ん? 何だ?」

――――――モグモグモグモグ…

「聞きたいことがあるんだけど…」
「おぉ、何でも聞け」

――――――ゴックンッ

「美鈴さん、お代わりニャ~」
美鈴は、差し出された空のお茶碗を黙って受け取って、中にご飯をたくさん入れた。
「レデンちゃん、今日はいっぱい食べるのね、はいっ」
萩原学園の制服を着たレデンの手に、ご飯がてんこ盛りのお茶碗が渡される。
「うんっ、今日からレデンは学生になるから、いっぱい食べるんニャ!」
「そうなの…」

――――――モグモグモグモグ…

「…で、話の続きなんだけどね」
「あぁ」
スーツをビシッと着こなしている俺は、口に入っていた物を急いで飲み込んだ。
「私の言いたいこと…、分かるわよね?」
「ん? 何のことだ?」
「惚けるんじゃないわよぉッ~!」
突然キレた。
「まぁ、落ち着け。ほら、茶でも飲め」
美鈴に暖かいお茶が入った俺の湯飲みを渡す。
「ありがとう…」
そう言って湯飲みに口をつけてお茶を飲む美鈴。
「はぁ~、落ち着くわねぇ~」
「そうだろ、そうだろ。日本人はやっぱり茶だな」
「うん………、あっ」
「どうした、美鈴?」
「この湯飲みで…、バカ兄貴お茶飲んだ?」
「あぁ、飲んだぞ。それがどうし…」
「死ねよッ! バカ兄貴ィィィ~~~!」

――――――ドコォッ、バキィッ、ドドドッドンッ、バコ~ン!

騒がしい朝の食卓だったニャ…。(レデン談)

「いつつつつ…、せっかく着たスーツがボロボロじゃないか…」
クソジジィからもらったこのスーツを実際に着た時間…、僅か10分。
「まぁ、もう一着あるからいいか…」
雑巾みたいに汚れてしまった元スーツを脱ぎ捨て、新しいスーツをタンスから取り出した。
「ちっ、あっちの方が似合っていたのによ…」
グチをこぼしながら、渋々着替えた。

――――――「バカ兄貴…」

美鈴の声だ…。部屋のドアの裏から聞こえる。
「何だよっ?」
スーツの恨み…、一生忘れないからなっ!

――――――「何でバカ兄貴がスーツを着ていて、そしてさらにおかしなことに、レデンちゃんまで制服を着ているの?」

俺は時計を見た。昨日、時雨が言った時間までに、萩原学園に着けるかギリギリの時間帯だった。
「悪い美鈴。詳しい事は帰ってきて言うよ」
そう言いながらドアを開けた。
「またスーツ着ているし…」
美鈴が俺の姿を見てそう言った。
「似合うか?」
ポーズをとってみる。
「似合わないわよ」
即答だった。

「美鈴よ…。とりあえず簡単に言うぞ。今日から俺は萩原学園の教師、レデンはそこの学生だ」
「学生ニャ~♪」
レデンも話しに入ってきた。
「カバン持ったか?」
「持ったニャ」
「歯ぁ磨いたか?」
「磨いたニャ」
「じゃあ、行くぞッ!」
「了解ニャッ!」
歩き出した俺とレデン。
「ちょっと待ちなさいッ!」
美鈴に両肩を掴まれた。
「だから、時間が無いんだって…」
俺は無理やり腕を解いた。
「うっ…、何でバカ兄貴がいつのまにか教師になっているのよッ!?」
美鈴は少し泣き出しそうになっていた。
「帰ってきてから言う、行くぞレデン」
「ごめんなさいニャ~、美鈴さん」

――――――バタンッ

玄関のドアを閉めた。
「バカ兄貴のバカァアァァッッ~~~!!!」
美鈴の子供みたいな叫び声が近所中に響いた。

――――――――――☆

「あっ、和也さんですっ」
秋の風が靡いた先に、一人の女性が立ち尽くしていた。
「よっ、時雨」
萩原学園の巨大な門に寄りかかっていた時雨は、俺たちの姿を確認するとこっちへ近づいてきた。
「今日から私たち教師ですねっ」
「そうだな…」
ガッツポーズをとる時雨。俺たちの横を歩いて通り過ぎていく学生たちが、「誰だろう、この人たち?」みたいな感じで去っていく。
「俺たちは教師だぞぉぉぉ~!」
とりあえず叫んでみた。
「ご主人様…、めっちゃ恥ずかしいから止めてニャ…」
「ごめんなさい…」
レデンの爪が首に突き刺さっていた。
「レデンちゃん…、はしゃいでいますねっ」
「はっはっはっ…、時雨は本当にバカだなぁ」
「レデンちゃん…、そんな人なんか放っておいといて、職員室まで一緒に行きましょうね~」
「了解ニャ~」
二人仲良く手をつないで歩き出した。
「こらこらこらっ、全く…、困った奴らだぜっ!」
俺は急いで二人の後を追いかけた。

――――――――――☆

「おぉ、これはこれは新谷先生。ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらへお座りください」
俺の目の前には、外客用の大きな黒光りのソファーが。
「はぁ…」
訳が分からず座る俺。
「時雨先生も、レデンさんも座ってください」
初老の男の人が腕でソファーを指す。
「ありがとうございます」
「ふかふかニャ~♪」
レデン達も言われたとおりに座った。俺たちが座ったのを確認してから、そのおじさんもソファーに座った。
「初めまして、私はこの学園で教頭をしています“川瀬”と言います。以後、宜しくお願いします」
そう言って、頭を下げた。
「えっ、いや…、そのっ…、こちらこそお願いしますぅ!」
時雨が慌てて頭を下げる。
「いやしかし、見れば見るほど素晴らしい経歴ですなぁ、新谷先生」
「へ?」
嫌な予感がする。
「僅か14歳で、バーバード工科大学を主席で卒業しているとは…、末恐ろしいですなぁ」
「(げっ)」
クソジジィ…、どんな嘘八百を書いているんだよ。
「その後の経歴も素晴らしい…。いや~、よく我が学園に来てくれましたっ」
そう言って手を握られた。
「いや~、恐縮ですよ」
俺は笑って応対したが、内心ビビリまくっていた。
「新谷先生の経歴も素晴らしいが、時雨先生とレデンさんの経歴も素晴らしい」
「ニャ?」
レデンの顔が引きつる。俺と同じような嫌な予感に襲われたのだろう。
「これほどの逸材が3人もいるところを、私は生まれて初めてこの眼で見ましたよ」
はっはっはっとおじさんが笑う。

「それゆえにまだ信じられませんよ。こんなに優秀な教師と生徒が、“モウマンタイ”組に配属して頂けるなんて、本当に助かります!」
先ほどよりも深く深く頭を下げるおじさん。何だか猛烈に嫌な予感がしてきた。
「(なんの話だ…?)」
「(さぁ、私にも分かりません)」
時雨に聞いても分からなかった。恐らく、クソジジィが書類を勝手に偽造して、そして勝手に配属先まで決めてしまったのだろう。

「いや~、あのクラスには我が萩原学園屈指の“問題児”が集められておりまして、そこに配属された先生は、ことごとく全員が1日でこの学園を去っておりまして…」
大きなため息が部屋に響いた。
「1日で全員が辞めているんですか?」
時雨が確かめる。
「はい…、1日です」
どんよりとした空気が俺たちのいる部屋を包み込んだ。
「楽しそうだニャ~♪
レデンだけは楽しそうだった。

「新谷先生は、モウマンタイ組の担任を。時雨先生はモウマンタイ組の副担任をしてもらうことになります。レデンさんには、クラスの委員長になってもらいたいのですが…」
そう言って、おじさんはレデンを見た。
「いいんちょう?」
レデンが首を傾げる。
「まぁ、クラスで一番偉いヤツってことだ」
「偉い…?」
手を口元に当てて、しばらく黙りふけるレデン。
「ん~…」
まだ考える。
「ん~…」
まだ考える。
「レデン…」
結論に至ったようだ。
「権力ってキライだニャ。委員長にはならないニャ」
「へっ?」
つい声が出てしまった。
「そうですか…、残念です」
本当に残念そうにするおじさん。
「では、そろそろ時間ですのでご案内します」
おじさんが立ち上がる。
「どこへですか?」
俺の言葉に、窓の外を遠く見つめるおじさん。
「モウマンタイ組がある、旧校舎へです…」

――――――――――☆

「カー、カー…」
カラスが飛んでいる…。

――――――バッサ、バッサ!

「うわっ!」
すぐ横をカラスが通り過ぎた。
「こ…怖いですぅ…」
「…銃を下ろせ」
懐から銃を取り出した時雨は、それをカラスへと標準を合わせていた。あと1秒遅かったら銃声が響き、前にいたおじさんが銃の存在に気づいてしまっていただろう。
「(何で銃なんて持ってきているんだよッ!?)」
時雨に耳打ちする。
「(わぷっ、くすぐったいのでやめてくださいっ)」
時雨はそう言うと、前にいたおじさんとレデンの横まで走っていった。
「ふっ…」
俺は自分のブレスの恐ろしさを再確認した。このブレスで、一体どれほどの女性を魅了することができるのやら…。
「自分が恐ろしいぜっ…」
そう言いながら、俺もみんなの横に並んで、目の前に佇んでいる建物を見た。
「何だか不気味な建物ニャ~…」
「そうだな…」
それは、木造2階建ての校舎。
「ここが旧校舎です」
外壁はボロボロ。至るところに亀裂が走っている。
「ちょっと聞きたいんですけど」
「はい?」
ちょっと疑問に思ったことがある。
「この校舎って築何年ですか?」
「5年です…」
おじさんが悲しそうに答える。
「どう見ても、築40年って感じなんですけど…」
そのボロボロの校舎を見て思った第一感想を述べた。
「そう思いますよね普通…。でも、つい最近までは、ここは綺麗な木造の校舎だったのです…」
とてもそうは思えない。
「でも、モウマンタイ組の生徒がどんどん増えていくにつれて、この校舎もどんどん廃れていきました…。うっうぅ…」
泣き出した。
「泣かないでください。私たちが何とかしますので」
時雨はポケットからティッシュを取り出すと、それをおじさんに渡した。
「うっうぅ…、ありがとうございます、時雨先生」
よっぽど苦労しているんだろうなぁと思う。

「これは、モウマンタイ組の生徒名簿と出席表です」
自分を取り戻したおじさんから、生徒の名前が書かれた紙が張ってある板と、ファイルされている出席表を受け取った。
「では、後は宜しくお願いしますっ!」
「えっ?」
おじさんがどこかへ行こうとする。
「ちょ…ちょっと待ってください。授業とかはどうすれば?」
「それは新谷先生たちにお任せしますぅぅぅ~………」
そう言って、おじさんの姿は見えなくなっていった。

「よっぽどここが恐ろしいんですかねぇ?」
「そのようだな」
レデンはカラスを捕まえようと必死にチャレンジしている。あっ、捕まえた。
「レデンを入れて、35人か…」
生徒名簿の名前に一通り目を通す。
「日本人じゃない様な名前が少しあるな…、何だこの“シュパプール・テリャ・マドフェフカ”って? 名前長ぇ…。って、しかもこいつがクラスの委員長だしっ!」
日本語話せるのか? と思う。
「しかも、全員♀だし…」
生徒名簿には、生徒の名前、出席番号、性別、所属している部活が書かれている。さっきの子の名前の横には、小さい字で“委員長”と書かれていた。
「何で全員女の子なんですかね? 女子高でもないのに」
「それは分からないが…」
俺にとって、ここは最高のプレイスだということは間違いないな。
「鼻の下が伸びていますよ」
時雨がジト~とした目で俺を見ている。
「伸びてない。おい、レデン~」
「ニャ?」
カラスをキャッチアンドリリースして遊んでいたレデンをこっちへ呼び寄せる。
「学園内では、俺のことを“ご主人様”って読んだらダメだからな。ここでは俺のことを“新谷先生”と呼ぶんだぞ」
流石にご主人様はマズイからな…。
「了解ニャ~」
素直に頷くレデン。
「よしっ、いい子いい子」
「ゴロゴロ~♪」
頭を撫でてあげると嬉しそうな声を上げた。
「では、行きましょうかっ」
「あぁ…」
俺とレデン、そして時雨の3人は、これからどんな学園生活を送るのだろうか…という期待と不安をほどよくシェイクさせたようなものを胸の内に秘めて、ボロボロの校舎へと歩いていった…。

――――――――――☆

「中もボロボロだな」
校舎内も戦争中みたいな汚さだった。廊下も天井もボロボロと言う言葉が良く似合っている。
「悲惨ニャ…」
レデンもがっくりと肩を落とす。
「向こう方が騒がしいですね」

――――――ガヤガヤガヤ…

「確かに…」
俺たちは音がする方へと歩いていく。

――――――バキィ!

「うわぁっ、床が抜けた!」

――――――バキィ!

「きゃっ、こっちもです!」

――――――バキィ!

「って、何で今俺を殴ったレデンッ!?」
「自分に気合を入れようと思って…」
「だったら自分を殴れぇ~!」
「変態ニャ~!」
その叫び声を響かせながら、レデンは“モウマンタイ”と書かれたプレートが付いた教室らしき部屋の扉を開けて、中へと入っていった。
「待たんかいぃッ~!」
俺も後を追って中に入った。

――――――「きりツ」

「へっ?」
突然広がった景色、そして突然の号令、

――――――「れイ」

34の頭が一斉にこっちを向いた。

――――――「ちゃくせキ」


ガタガタガタァ~と着席する音が、小汚い教室に木霊した。
「え…っと…」
不意打ちの号令にしばらくの間、戸惑ってしまったが、
「やぁ! みんなおはようっ!」
自分でも驚くような爽やかな挨拶をした。
「俺は君たちの新しい担任になった“新谷 和也”だっ! 以後よろしくぅ!」
ヘイ! みたいな感じで親指をぐっと立てた。

――――――「…………………」

無反応だった。
「ごしゅ…じゃなかった、新谷先生カッコ悪いニャ…」
窓際に立っていたレデンが悲しそうに俺を見た。そんな目で…、俺を見ないでくれぇ!
悶え苦しんでいるそんな俺の前を、誰かが通り過ぎた。
「皆さん、初めまして。私も今日からこのクラスの副担任をさせてもらうことになった“柿本 時雨(かきもと しぐれ)”と申します。以後、宜しくお願いします」
俺の挨拶とは比べ物にもならないほど丁寧で、綺麗なお辞儀だった。

――――――「宜しく…」

何人かの声が聞こえた。
「えっ、俺のときは無反応だったのに、なんで時雨…先生のときは反応があるんだ? コレって…、差別以外の何ものでもないよな?」
男女差別に苦悩するそんな俺の前を、誰かが通り過ぎた。
「皆さん、初めましてだニャ。レデンって言いますニャ。学校に来たのは初めてなので、いろいろと教えてくれると嬉しいニャ…。あっ、趣味はヴァイオリンを弾くことニャ」
そう言ってレデンも綺麗なお辞儀をした。待て…、ヴァイオリンなんて弾けないだろお前。

――――――「ヴァイオリン…、ですか?」

教卓のすぐ前にいた大人しそうな女の子が、レデンの言葉に反応した。
「そうニャ。こんな感じでいつも弾いているニャ…」
レデンはヴァイオリンを弾いているような仕草をし始めた。だがレデンよ…、途中からドラムを叩く仕草に変わっていっているのは俺の気のせいか?
「そうですか…、私はフルートが大好きですよ。吹いて差し上げましょうか?」
「聴きたいニャ」

――――――「なっ?」

クラス中の女の子たちから声があがった。

――――――「待っ…」

クラスの女の子の声がそろった時、

――――――ピロロ~

教室に心地よいフルートの音色が漂った。…何だ? この安らかな気持ちは。落ち着く…。

――――――「あぁぁ…」

クラス中からため息が聞こえる。そして突如、フルートを吹いている女の子以外の女の子たちが立ち上がり、どんどん教室から出て行ってしまった。
「おいッ! お前たちどこへ行くんだッ!?」
訳が分からないが、とりあえず俺はみんなを止めようと、扉の前に立ちふさがった。
「邪魔…」
「あん? 俺が邪魔…」
俺が文句を言い終える前に、

――――――ブシハッ!

何か、金色のよく分からないものが、俺の横っ面を薙ぎ払った。
「ゲフゥゥゥッッ~!?」
すごい勢いで吹き飛んだ俺は、何が何だか分からずの状態で教室の後ろの壁に激突した。
「ぐふぅ…、見えなかった…」
壁からずり落ちながら、何に殴られたか確かめてみた。
「って、何だアレはっ!?」

――――――ウネウネウネ…

俺を「邪魔」扱いした女の子の頭の上に…、何か巨大なものがウネウネしていた。
「“エリザベス”ちゃん、早くいこ」
「(ギギギギギィ…)」
そして、俺と時雨とレデンと、フルートをただひたすら吹いている女の子だけが、秋の陽気が残る教室に残された。
「何だって言うんだ、一体…」
俺は何とか教室の前まで、おぼつかない足取りで戻った。
「みんな、何で出て行ってしまったんニャ? レデンが悪いのニャ?」
今にも泣きそうなレデン。
「レデンは悪くない…、ん?」

――――――カサカサカサ…

「何か、聞こえないか?」
「そういえば…」
時雨も気づいたようだ。

――――――カサカサカサカサ…

何となく、音が近づいてきているような…。
「とっても嫌な予感がするニャ」
天性の大直感で感じとったのだろう。この、なんとも言えない禍々しき気配を。
大丈夫だレデン。俺も感じている。二人で一緒に感じているぞっ。
そして、それは訪れた…。

――――――ドバッシャ~ンッ!

すごい音と共に扉がすごい勢いで吹き飛んだ。
「何だぁッ!?」
それと同時に、黒いワシャワシャしたものが教室になだれ込んできた。それが教室中の風景を黒く染めていく。
「ナニこれナニこれナニこれキモチわるいぃぃッ!?」
時雨はパニック状態。懐から銃を取り出そうとしている。
「バカッ! やめるんだっ」
俺は必死で時雨を取り押さえた。取り押さえる際、時雨から肘打ちを喰らったのでキレそうになった。
「ナニこれ♪ ナニこれ♪」
レデンは嬉しそうにソレを捕まえた。
「ニャ~♪ 可愛いニャ~♪」
レデンに触覚を摘まれたソレは、足をワシャワシャと忙しなく動かしている。レデンが「可愛い」と言っているソレは、どう考えても…、

――――――「ひぇ~ん! ゴキブリ嫌いです~」

情けない泣き声を発したのはフルートを吹いていた女の子。すでにその子はフルートを吹くのを止め、机の上に乗ってあたふたしていた。
「でも私はフルートが好き。だから私は吹き続けるッ!」

――――――ピロロロオォォ~

すごい音色が響き渡った。それは、世界中にまで響いているんじゃないかと思うほど、素晴らしい音色だった。

――――――ガサガサガサァ!

フルートの音色の余韻に浸っている場合じゃなかった。
「きゃあぁぁぁ~、嫌な音が近づいてきます~!」
時雨はもうダメだ。白目をむいている。
「もう何でも来いやぁ!」
俺は覚悟を決めた。女の子は気が狂ったようにフルートを吹き続け、すでにトランス状態みたいになっていた。そしてその音色が最骨頂に達したとき、

――――――のっそり…

黒い…、巨大な物が、すでに扉が無い教室の入り口から中に入ってきた。
「でけぇ…」
それは、巨大ゴキブリ。パソコンの本体並みの大きさだった。

――――――バッ!

それが…、巨大な羽を広げて飛んだ!
「あぁぁ~! もう消えてくださいぃ~!」
白目をむいていた時雨が銃を構えていた。やばい、間に合わない。

――――――バァンッ! キィンッ!

銃声が響いたが、その直後に変な音も聞こえた

「弾いたのかっ!? しかも…」

――――――キィンッ! キィンッ! キィンッ! キィンッ!

弾かれた弾丸が止まらない。床とか壁とかに敷き詰められているゴキブリたちに当たり、反射を繰り返している。
「なんで硬いんだこいつらッ!? うわっ、しかも巨大ゴキブリが教室の中を高速で飛び始めたッ! 見えねぇ! 速過ぎるッ! うおっ、弾丸が頬をかすったッ!」
「可愛いニャ~♪」
レデンの頭には、巨大ゴキブリが乗っかっていた。
「シュートッ!」
俺はその巨大ゴキブリを蹴り抜いた。

――――――ガシャ~ン!

巨大ゴキブリは、窓ガラスをぶち割って遥か彼方へと飛んでいった。
「あぁっ、可愛いのが飛んでいったニャ~…」
窓の外を名残惜しそうに眺めるレデン。
「フルートを吹くのも止めろぉ!」
神が降臨してしまうぐらいのテンションで吹き荒れていた女の子が持っているフルートを、俺はサッと奪った。
「あぁっ、返してくださいぃ」
「ダメだ」
しばらくすると、ゴキブリ達の姿がどんどん減っていき、そして全部去った。空中を飛び回っていた弾丸も、うまく外へと飛んで行ったようだ。
「やっぱり、コレが原因だったか…」
俺は握っていたどこにでもあるようなフルートをしげしげと観察してみた。
「返してくださいぃ」
涙を瞳にいっぱい溜めながら、俺が持っているフルートを取ろうとしている。
「もう、吹かないか?」
「吹かないので返してくださいぃ」
ぐっ…、そんな目で俺を見ないでくれ…。萌えてしまうではないか…。
「本当に本当か?」
「本当に本当です」
「しょうがないな、ほらっ」
フルートを返してあげた。
「ありがとうございますっ」
「そう思うなら、教室を出て行ったみんなを呼んできてくれ」
「はい、分かりましたっ」
彼女は教室から出ようとしたが、一瞬立ち止まり。
「あっ、私の名前は“北条 理香子(ほうじょう りかこ)”です。レデンさん、私たちのクラスにようこそです」
そう言って、お辞儀をした。
「ありがとうニャ~♪ 北条さん~♪」
「あれ? 俺は? 俺は?」
「では、みんなを呼んできます」
俺を無視して、北条さんは廊下を走っていった。

「いい人だニャ~♪」
「いや、そのセリフの前に“問題がある”という言葉を付け足したほうがいいぞ」
「ご主人さまを呼ぶときは、“存在がキモイ”を付け足したほうがいいのと同じことだニャ」
「はははっ、言えてる言えてる」
「ニャはははっ」
教室には笑い合う2人と何も言わない屍(時雨)1人だけが、しばらくの間取り残されていた…。





(次回予告)

萌え忍の首謀者を見つけようとする時雨と別行動を取り,和也とレデンは”モウマンタイ”組の家庭訪問をすることになって…、


(頂き物)

銀杏 空


”銀杏 空”のデザインをそのまま僕がパクらせてもらった「ソラ」さんが、新しい”銀杏 空”を描いてくれましたw もう、ソラさんは天才ですねぇっ!
アホ毛の恐ろしさ…、それはそれは恐ろしいモノなのです…。

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この記事に対するコメント

実生活でも学園編に突入ですかー。いいでつなー。
あっしは仕事で色々あって、学校もとい幼稚園くらいまで戻りたいきぶんでつよw(ぉぃ

【2006/04/06 20:22】URL | きつねこ #-[ 編集]

学生は楽でいいですよ~☆

仕事ふぁいと~♪

【2006/04/06 20:30】URL | シミコン #-[ 編集]

黒い悪魔の集団がぁぁっΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)
怖すぎですよそれは。。。orz

学生は・・・・・・。・゚・(ノД`)・゚・。

【2006/04/06 23:09】URL | ふぉくしーすらい #GWMyNl/.[ 編集]

黒い集団こわいですね~♪

次回、アホ毛の子が大接近w

【2006/04/07 18:43】URL | シミコン #-[ 編集]

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