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”自分に厳しく、地球に優しく” 第10幕

第10幕  リサイクル



「う~ん、ここは…」
「やっと気が付いたか」
目覚めのファーストシーンがエシナの度アップな顔でした。
「ツブハァ!」
思わず噴出してしまいました。
「汚いぞボケがぁ! オラ!!」
「ハブゥッ~」
容赦なく殴るエシナ。でもおかげで目がパッチリ覚めました!

「立花さんは?」
キョロキョロと周りを見渡しました。
「うわぁ、瓦礫の山だ…」
さっきまで確かにそこに在った建物は、完全に瓦礫の山と化していました。
「廃棄場所を記した肝心のパソコンも、これじゃあな…」
がっくりとうな垂れるエシナ。

――――――シュイ~ン…

「カズヤ~」
「あ、ヴェス君ッ!大丈夫?」
ヴェス君の体はボロボロでした。こんなになってまで僕を助けてくれるなんて…、グスッ!
「だいじょうブ~、もう“フォト”を補充したからすぐに治るヨ~」
ヴェス君の体の傷跡から、虹色の光が微かににじみ出ているのがわかります。
「そっか、お疲れ様ヴェス君。えっと…、立花さんはどこかな?」
「こっチ~」
僕はヴェス君の後について行きました。ヴェス君が向かう先には丘があり、そこに立花さんはいました。

「夕日けが綺麗ね、ピスタ」
「そうでありますなぁ、渚殿」
赤い夕焼けをバックに僕の方に振り返る立花さん。その時僕は、まるで天使が僕に微笑んでいるような…、そんな不思議な感覚に包み込まれました。
「あっ、和也君…、やっと起きた」
トッタッ! トッタッ! と丘を駆け下りてくる立花さん。そして、そのままの勢いで僕にラリアット!
「ゴヒュゥッ!」
一瞬、首の骨が粉砕されたかと思ったほどのすごい衝撃。僕は宙に舞い、そのままの勢いで走り続ける立花さんに引きづられながら、瓦礫の方へと戻って行きます!
「さ~て、後始末よ~、和也君~~~!!」
「ゴフッ!…ねぇ、やっぱり怒っているよね? さっきのこと…」

急停止する立花さん。そして、慣性の法則に従っている僕は、そのままのエネルギーを保ったまま、瓦礫の山に大激突!
「エシナァ~! 後始末よ~~!!」
満身創痍の僕を無視して、立花さんはエシナを呼んでいます。
「おう! まずは腹ごしらえだ!」
そして、今日の昼に見た風景と同じようなことが、また僕の目の前で起こりました。
落ち葉や壊れたコンクリート…、それら壊れた物が瞬く間に消えていきます!

「エシナ、そういえば今日は珍しくエシリウス(エシナ砲)を使わなかったわね」
「それはだな…」
エシナは食事を中断して、立花さんの肩に飛び乗りました。
「今回は情報収集の任務も含んでいただろ? 大事な情報源を消し飛ばすのはさすがにまずいなと思ったからな。それに和也もいたから、むやみやたらに乱射すると和也が死ぬ可能性があった」
「へぇ、それが私に勝負で負けた言い訳?」
また口げんかが始まりそうです…。
「ほう。どうやら自分の力を過信しすぎているようだな渚はぁ! “ソム”に戻ったら一対一で勝負してやるぞ!」
「フフフ、望むところよ」
この二人って、仲が悪いのか良いのか全く分からないです。
「ヴェスはあそこに残っているおやつ(トラック)を食べてきなさい」
「わかっタ~」
ヴェス君に優しく命令する立花さん。ヴェス君には誰もが優しくなってしまう魔力があるようです。

「よし! 補充完了だぞ!」
フォトの補充を終えたエシナの体が虹色に輝き始めました。
「え? 今から何をするの?」
エシナはまた何かをするようです。一体何をッ!?
「“リサイクル”であります。和也殿!」
「リサイクル?」
ピスタさんのカッ開いた目が、僕を凝視しています。キモイです。
「そう…、人肉のリサイクルよ。和也君!」
ものすごい笑顔で僕に答えを教えてくれた立花さん。目がすごく輝いています!

「へぇ…、人肉ねぇ…、へぇぇぇえええええええッッッ!!!???」
驚いている僕の声が周りに響く中、エシナの体がさらに光りだしました。
「ゴミの存在を宿りし物たちよ! 蘇れ! 再生するバリティー“インピース”!!!」
エシナの口から虹色の光が放出され、その光の先で粒子が集って何かが形作られていきます。そして、何かの形が出来あがった時。それは地面に「ドスン」と落ちました。
「きゃ~、できたわ~」
立花さんが嬉しそうに、それに駆け寄って行きます。でも、コレって…。
「洗濯機?」
そうなんです。コレは、僕の家に置いてあるような普通の白い洗濯機ですよ。で、これでどうしろと?
「私が入力するね~、えっと…“じ・ん・に・く”っと」

――――――ピッ!

立花さんがおぞましい言葉を嬉しそうに入力した後、赤いボタンをこれまた嬉しそうに押しました。直後、その洗濯機はガタガタと動き出し、上のフタが開きました。そして、その穴に風がなだれ込み始めると、どんどんすさまじい風が僕達の周りに集まってきました。
「うわっ、すごい風だなぁ!…ん?」
僕たちのところに向かって、瓦礫の中から何かがいっぱい飛んできます。僕は目を細めてそれらをじっと見つめました。僕の目に映った赤い物たち。それは、人の頭とか腕とか足とか心臓とか胃とか腸とか肺とか腎臓とか肝臓とか十二指腸とか!…人体のパーツがすごい勢いでどんどん洗濯機に吸い込まれていきます!

「うぎゃぁぁ~~~!!!」
僕は夕焼けの空に向かって走り出しました。走っている時だけは、何もかも忘れ去ることが出来ました。
「エシナ!」
「任せろ! 惑わすバリティー“シシルチエ(木の葉牢獄)”!」
エシナの口から放出された木の葉が、僕の周りを囲みこみ、そして回りだしました!
「うわぁ~! 何も見えない~~~!!」
どこに向かって走っているのか分かりませんでしたが、とにかくがむしゃらに走りました。しばらく走っていましたが、僕は走り疲れて、とうとうその場に座り込んでしまいました。僕の周りで回っていた木の葉が消えると、目の前にはあの洗濯機がありました!

「今から、おも…、じゃなかった、感動的な場面が見られるわよ」
洗濯機は全ての肉片を集めたのか、フタが閉まっていました。代わりにガタンゴトンと激しく動いています。しばらくすると、プシュ~と煙が中から上がって、洗濯機の前の扉が開きました…。

――――――「生きてるって素晴らしい~」(?)

扉の中から男臭い声が聞こえ、そして超マッチョな男の人がパンツ一丁で扉の中から、のっそりと出てきました!!

――――――「自然って美しい~」(?)

またまた出てきました! しかも目がキラキラしてるよぉ!!

――――――「世界は僕が守る~」(?)

こんな感じでワラワラと超マッチョな男の人たちが、パンツ一丁で5人も僕たちの目の前で誕生しました。
「お前たちぃ!」
エシナが軍隊の上官みたいに手を後ろに組み、誕生したての人たちの前に立ち、激を飛ばしています。
「お前たちの目的は何だぁ!!」
「守る! 守る! 守る!」(5人一緒に)
「地球の未来はお前たちに懸かっているぞ!!」
「I LOVE MY EARTH! I LOVE MY EARTH!」(5人一緒に)
「さぁ、行け! そして己の成すべき事を果たして来い!!」
「進め! 進め! 進め!」(5人一緒に)
ザッ、ザッ!っと、行進を始めた5人組は、そのままどこかに消えてしまいました。立花さんとエシナは、超マッチョな人たちの姿が見えなくなるまで、ずっと敬礼していました。
「えっと、あの…、いろいろと突っこむところが多すぎて困っているんだけど…」
敬礼を終えたエシナが、僕の方に飛び乗って来ました。

「あいつらのことか?」
彼らの過ぎ去った跡をエシナは眺めています。そして、立ち上がりこう言いました。
「あいつらは…、生まれ変わったんだ!!!」
拳を握り締め、ガッツポーズを取るエシナ。
「日々、悪行を重ねる毎日! しかし、そんな呪縛から解き放たれた者達! それがあいつらだ!!」
「よく分かんないから」
何でちゃんと説明してくれないのでしょうか。
「簡単に説明するとね…」
珍しく丁寧な言葉で立花さんが僕に説明してくれるようです。
「私たちは今日、環境のソース(存在力)を宿した武器で戦っていました…」

――――――物語口調っ!?

「その武器で対象を消去すると、その対象に“ゴミ”のソースが植えつけられます」
ふみふむ。
「そして、“ゴミ”のソースを宿す物をリサイクルして、新しいものを生み出すバリティーが…」
「俺の“インピース”だ!!!」
最後の締めはエシナがとりました。少し顔が引きつる立花さん。
「だから私たちは、普通の銃とか爆弾は使えないの。敵に“ゴミ”のソースを植え付けないとリサイクルできないからよ。わかった?」
今日の一部始終をこの目で見てきましたけど、そんな深い意味があの戦闘には込められていたのだと、初めて知りました。僕はただ、立花さん達は殴り殺すのが好きなだけだと思っていました!
「うん! すごく分かったよ! ちょっとマジで感動みたいな感じがするようでもないよ…!」
少しだけ、僕の目に変な汗が流れました。

「そして、リサイクルされて新しく誕生した彼らは、地球上のゴミを片っ端から片付けていくのよ!」
「だからお前も敬礼しろッ!」
エシナに右腕を強引に上げられて、右手をおでこに引っ付けさせられました。人間二人とぬいぐるみ一匹が敬礼する夕焼けの空の下。こんな光景は誰も目にすることは、今後決して無いでしょう。

「さてと、帰るわよ~」
う~ん、と背伸びする立花さん。
「ピスタ、今日はお疲れ様」
立花さんはヘルメットを脱いで、ヘルメットに浮き出ただるまさんの顔(ピスタの顔)を摩りました。
「いえ! お役に立てて光栄でありました!」
ピスタさんの赤い顔がさらに真っ赤になりました。
「ピスタ、顔が赤いわよ?」
顔を傾げる立花さん。
「これはその…、夕焼けのせいであります! 間違いございません!」
「そう…?」
可愛いく微笑む立花さん。僕が思うに…、これはピスタさんを洗脳するための悩殺儀式だと考えられます。こうやって立花さんはピスタさんを自分の思うがままに操っているのでしょう。僕も気をつけなければいけません!

「ヴェス~、帰るわよ~」
おやつ(トラック)を食べ終えたヴェス君が、モーター音を響かせながら走ってきます。
「お腹いっぱイ~」
ヴェス君はエシナの肩に飛び乗りました。恐らく定位置なのでしょう。

「ちょっと任務失敗って感じだが、まぁ次、頑張るぞ!」
「お~!」(僕以外)
「よぉ~し! キメ台詞言うぞ~!」
「お~!」(僕以外)
「えっ、またキメ台詞~?」(僕)
「せ~のぉ!」


「ミッションコンプリート~~~!!!」(僕以外)
「えっとぉ…、今日のは全て夢オチってことにしてくれぇぇぇッッッ~~~!」(僕)




――――――ミッションコンプリート?            

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