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”自分に厳しく、地球に優しく” 第6幕

第6幕  秘密基地:ソム「シークレット・オブ・マウンテンSecret Of Mountain(SOM)」



さて、出口はどっちでしょうか?

廊下の片隅でひっそりと撤退体勢をとりながら僕は考えています。いつでも走り出せる体勢ですよっ。
あのヨロイの前を通って行った男の人も、立花さんたちも、同じ方角に向かって行きました。立花さんは“任務”のために福井に行くって言っていたから、やっぱり外に一度は出ないといけないでしょう。ということは、立花さんたちが向かった方向が外につながっている可能性が高いです。
でも、もしかしたらワープ装置(変な自動販売機のケーブル?)があるだけかもしれなくて、またあの変な自動販売機に襲われる可能性があります。
はぁ~…、やっぱりここから無事に脱出するのは難しそうです。

とりあえず、立花さんたちがいない方向に行きます。もしかしたら、ここにはあの男の人と立花さんしかいないかもしれないし、どこかにここの見取り図があるかもしれません。だから、僕は少しでも人がいない方向に行くぞ!
僕はこう結論を出しました
そして、照明が転々と続く廊下を歩き出そうとした時!

――――――「ちょっと、あんさん。まだここにいたん?」

…聞き覚えのある声。

「まだ、誰にも会ってないんでっか? 奇跡やな~。奇跡の芸人やであんさんは~」

どこから聞こえるんでしょうか?

「しょうがないな~、ワイが手っ取り早く案内したるわッ!!」

次の瞬間、僕の足元に突然大きな穴が現れました。(よく見ると大きなケーブル)
僕は、その穴に芸人っぽく落ちてしまいました。
「ううわあぁぁッッ~~~ああああぁぁ~~~~しぃ~~~ぬぅ~~~!!!」
僕の体は、飛行機から落ちたネコのように落ちていきます!
「絶対死ぬ! 絶対死ぬ! 限りなく絶対死ぬぅぅ~~!!」
恐怖で、目が開けられないです。もうダメです。

その時、僕の脳裏に懐かしい顔が浮かんできました。
あぁ、これはお母さんの顔だ…。隣にはお父さんもいる。
このちっこい子は…、美鈴か?
このころはかわいかったのになぁ~。突然かわいくなくなったな~。
あはは…、みんなの顔がもう見れないのかなと思っていたら、走馬灯見ちゃっているよ。
僕の目に浮かんでくるのは…、僕の家族…、そして、沢田さん!
「沢田さぁ~~~ん! また、会いたいよぉぉッッ~!!!」
僕は、涙をいっぱい溜めた目をかっ開いて叫びました。
あっ、遠くに小さい光が見えました。
そして、その光はあっという間に大きくなりました!

――――――シュッポ~ン!!

「うわあぁぁああぁぁッッ~~~!!」
「ええぇぇええぇぇぇッッ~~~!?」

――――――ドカッ!…ドスッ!…

がやがや…、ざわざわ…。
なんだ?…おいどうしたんだ?…さぁ?…誰か二人倒れてるいるぞ?…本当だ…、所長と…、もう一人は誰だっけ?

「いたたた…、ここはどこ?」

………………ッ!?

こ…言葉が出ないとは…、まさしくこういうことを言うのでしょうか?
周りには…、白衣を着た人たちがたくさんいます。ざっと100人。
みんなが自分を見ています。なっなっなっ、なんか恥ずかしいよ…!
白衣を着た100人の人達の視線が、僕を突き刺してきます。それだけで僕は…、あああぁぁぁッッ~~~!!

「ちょっと君!」

その一声で、僕は狂気の世界から戻ってこれました。
「君は…、一体誰だね? ここの白衣を着ているようだが、僕は君みたいな人は知らないよ? それに君はまだ子供でしょ?」
僕が突き飛ばしてしまった人が話しかけてきました。それにこの声…、聞き覚えがあります。あっ、あの血ダルマヨロイの前をさっき通り過ぎた人です!

「聞いてる君? ちゃんと答えてくれないと困るよ?」
「はっ…はいぃ! ぶつかってすいませんでした!!」
「いやいや謝ってくれればいいんだ…。かなり痛かったよ」
「ほんとうにすいませんでした! どこが痛いですか!?」
「君を受け止めたこの胸が痛いんだ…。精神的に!」
「ドキィッ!? ごめんなさいお兄さん! 僕が悪いんです!!」
「お兄さん? ふっ…、“まもる”って呼んでくれないか!?」
「まもるさん! 僕のことは、“カズヤ”って呼んでください!!」
「カズヤ!!」
「まもるさん!!」
僕とまもるさんが抱きしめ合おうとしたその時!

――――――ドォルン…ドォルンッ…ドォルンッ…ドォルンッ!

「ちょっとお父さん? ナニしようとしてるの…?」
「全く…、恥ずかしくないのか?」
「そうだヨ! そうだヨ!」

…上のほうから何かが聞こえます。

僕は上を見上げました。そして見ました!
でも…? これはなに?
どこかで見たような気もするけど…、なんだっけ?
あぁッ! これは車の下の部分だ!!
僕の上に車が降りて来るんだ。
へぇ~、ってうおおぉぉッッりゃぁぁッッ~~~!!?

急いでその場から跳んで逃げました!
でも、まもるさんはケロッとして上を眺めています。
「まもるさぁ~ん! 逃げてぇ~~!! いやあぁぁッッ~~~!!!」注:(僕)

僕の悲鳴が轟く中、突然、車が光りました! 
虹色の光が辺りに散っていきます…!
「あっ、あれは?」(僕)
光が散った後、その場所には、黄色いヘルメットとゴーグルを頭にかぶった立花さんと、その彼女の肩に乗っているぬいぐるみと、床を走り回っているラジコンカーと、ぽつんと立っているまもるさんがいました。

「すまんすまん渚ちゃん! ちょっと邪魔しちゃったみたいだね」
「邪魔っていうか…、気になったから見に来ただけよお父さん。…あれ? あなた…」

立花さんの視線の方向が、まもるさんから僕に代わりました。

「え? あなたは確か…、萩原中学校の生徒名簿ファイルに乗っていたわね。写真で顔を見たから知っているわ。名前は確か…、新谷 和也君だったわよね?」
「うっ…、はい…、そうです。2年4組の新谷 和也です」

僕の事を知っているなんて…、なんか複雑な心境です。

「おおぉ! そうかそうか! 渚ちゃんと同じクラスの子か! 僕の娘はどうだい? か可愛いかい? グッと来るかい?」
「ちょっと! なに言ってるのよお父さん! やめてよ!!」
「だって、渚ちゃんが初めて彼氏を連れてきてくれたんじゃないか! こういう時は、こんな感じに言うのがいいんだよって“シパン”が言ってたぞ?」
「もおぉぉッッ~!! さっきの話を聞いてなかったの!? この人とは初対面よ!!! だから…、そういうのじゃないわよ!!!」

…顔が真っ赤になりながら、必死に弁明する立花さん。。

「そうか、渚ちゃんの彼氏じゃないのか…。じゃあ、君は何でここにいるんだい?」

みんなの視線が僕に向けられました。

「ええぇっと~、僕にもその…、何がなんだかわからないんです」
「わからないで済んだら環境大臣はいらねぇ~んだよ!!!」

突然、ぬいぐるみに怒鳴られました。

「まあ、まあ、エシナちゃん。カズヤ君は混乱しているみたいだから、順を追って話してみようよ」
「“エシナちゃん”って呼ぶな! キモイんだよ、このボケ!! この次、そんな風に言ったら“エシリウス(エシナ砲)”食らわすからな!!!」
「わかったわかった“エ・シ・ナ・ちゃ~ん”!」

…みるみる変なぬいぐるみの体が虹色の光に包まれていきました!

「ダメよエシナ! “フォト”がもったいないでしょ?」
「って渚ちゃん!? 親よりも“フォト”の方が大事なの?」
「うん」
「って即答!? 僕は…、僕は…、家出してやるうぅッ~~~!」

…みるみるまもるさんの姿が見えなくなっていきました!

「すまないな渚。つい、無駄な“フォト”を使うところだった」
「ううん、別にお父さんを消しても“環境”は良くはならないからって判断したからよ。エシナの“フォト”は“環境”を良くするために使わないとね」
「そうだったな。これからは気をつける」

…泣けます。

「かわいそうに、まもるさん…」
僕は、一人の男の生き様に涙が止まらないです!

「それで…、あなたはどうやってここに侵入したの?」

話が突然僕に向けられたので、全身に汗が滝のように流れ出しました。(びちゃ~っと)
立花さんも、変なぬいぐるみも、周りの白衣を着ている人たちも僕に注目しています。
足元には、「ウィ~ン、グィ~ン」とラジコンカーが走っていて、ちょっとウザイです。

「えぇっとですね…」
そして、僕はありのままの真実を語ることにしました。
「僕は萩原公園で変な自動販売機に襲われたんです。その時に変な自動販売機の変なケーブルに吸い込まれたんです! そして気が付いたら…、僕はここにいたんです!」

周りがざわざわと騒がしくなりました。

「そうなの…、あの“シパン”の仕業だったのね」
「全く…、あいつは“セキュリティ”担当だという自覚が足りないんじゃないか?」
「とりあえず…、あのバカシパンを呼んでみるわ!」
立花さんが「ス~ッ」と息をゆっくり吸い込んでいきました。
そして、

「シィィィッッッ~~パァァァッッッ~~ンンンンンンッッッ~~~!!!」

発生した衝撃波の波が壁を伝わり轟き響いていきます!
これぞまさに「絶対に聞こえてるよね!? ボイス2」です!
あの沢田さんよりも大きいです。立花さんすごい!
感心していて油断していた僕は、音の衝撃波で2メートルくらい吹き飛ばされてしまいました。
でも、周りの白衣を着た人たちは「やれやれ」って感じでヒョロっとしていました。
「毎度の事なのかな?」っと、吹っ飛ばされながら僕は思いました…、ガハァッ!
受身を取れずに床に叩きつけられてしまいました! すっごく痛いッ!
しばらくすると壁の振動も収まりました。でもすぐに、

「ど~したんや渚は~ん? なにかあったんでっか~~~?」

どこからともなくあの声が聞こえてきました。段々ムカついてくるあの声です!
僕がムカムカし始めたとき、立花さんの肩に乗っていたぬいぐるみが突然壁に向かって跳んでいきました。そしてそのままの勢いで、壁に向かってグーでパンチしました! 音は「ベシッ」でした。

「あいた~! なにするんや“エシナちゅあ~ん”」

ぬいぐるみの体がものすごい勢いで虹色に光り輝いていきましたぁッッ!!!

「お前…、さっきの話を聞いていたのかぁぁッッ~~~!!!」
「ちょっと! ちょっと! タンマタンマや! ほんの“シパンちゃんジョーク”やないか~。全く…、あれ? エシナはんの体が急速に光っていっとる? 具合でも悪いんでっか? 保健室行こか~?」
ぬいぐるみはさっき殴った壁の部分とは違うところを凝視しました。
「そこだな! 死ぃッ~~ねぇッッ~~~!!」
ぬいぐるみの口が大きく開きました。口からは「フォン…フォン…!」という音が聞こえてきます。
「ダメよエシナ! それではシパンには当たらないわ!!」
「ッ!? なぜだ?」
「シパンには“カカクロス(絶対回避したるで~)”の“バリティー”があるからよ!」
「そうか。じゃあ…、俺はどうすればいいんだ?」
「次のチャンスを待ちましょう。きっと次があるわ」
「わかった」
「かわされたら掃除が大変だしね」
「ああ」
「お父さんが怒るしね」
「あぁ…、というわけだシパン。命拾いしたな!」
ぬいぐるみがさっきまで見ていた壁とは違う壁を見て言いました。
そして、ぬいぐるみの体からは、虹色の光が徐々に消えていきました。

「そんな怖いこと言わんといて~な、ホンマ。まぁええわぁ~。それで…、なんでワイを呼んだんや~?」

こいつッ…!

僕の体が怒りのフィーリング(感情)でプルプルと震えていきます。
「シパン…、あなたは“セキュリティ”担当よね?」
立花さんの体もプルプルと震えていました。
「またまた~、なに言っとるの渚は~ん? そんなの当たり前やないかぁ~」
立花さんの体がブルブルと振動し始めています。
「じゃあ…、何で部外者を“ソム”に入れたの!?」
「部外者じゃないで~。そのボーイはワイの相方に成る男だからや。二人合わせて“芸人王”ってか? なっはっはっはっはっ~~~!」

――――――ブチッ!!!

あれ? なに今の音?
はっ!? 立花さんがぁ、立花さんがぁぁッッ!!

…あれ? 何にも起こらない…。

立花さんの様子を伺ってみました。立花さんはさっきまでガタガタと揺れ動いていたのに、今はピクリとも動かないです。不気味です。
皆が彼女を見つめる中、立花さんはぬいぐるみの元にトボトボと歩いていきました。

ぬいぐるみの耳元で何かをささやいているのが見えます。あっ、ぬいぐるみが頷きました。はっ、立花さんとぬいぐるみの口元が不気味に笑っている!? はっ! 立花さんが僕の方を向いた!

そして…、僕の元に歩み寄ってくるその二人(立花さんとぬいぐるみ)の姿は、僕の目から見るとそれはそれは恐ろしいものだったとさ…。

「ねぇ、新谷君だったっけ?」
修羅の内の一人(立花さん)が僕に鬼眼を向けて尋ねました。
「はいぃぃ…、何でしょうか?」(オドオド)
「一応、シパンのせいだったとしても、あなたがここの秘密を知ってしまった事には変わりはないわよね?」
「え? はっ、はい! そうですね。知ってしまいましたね。…ちょっとだけ」
「ちょっとだけでも、ここの秘密を知ってしまったらダメなのよ。わかる?」
「はいぃっ、そうですね! ちょっとだけでも秘密を知ってしまったらダメですね!!」
「ここの秘密は世界的に見てもトップレベルなの。だからここの秘密を知ってしまったあなたは、抹消されないといけないのよ。わかる?」
「へぇ…、そうなんだぁ………え!?」

い…今なんとおっしゃいましたか?
話の内容が良くわからないです。え…、何? 僕は殺されるって事ですか?
そ…そんなぁ~! 僕はまだ若いのに…、やりたいことはまだまだいっぱいあるのに…、そんなの嫌だぁぁッッ~~~よぉぉッッ~~~~~~!!!

すると突然、僕の左肩の上に天使(身長5cmでしかも裸で、背中に翼が生えていて、頭の上に金色のわっかがある僕)、右肩の上にママ(銀座のママみたいな格好と化粧をした、ちっちゃな僕)、そして僕の顔の真正面に心の中の神様(白くて長いヒゲを生やした僕)がそれぞれ、「ポムッ」「ボンッ」「スゥ~ッ」と現れました!
そして、
「あ~あ~…、早く沢田さんに告白しないからこんなことになるんだよ~。この腰抜け野郎が!! じゃな~」(天使)
「もう…! ウチの店で働かないからこんなことになるのよ~、せっかくいい素材を見つけたと思ったのに…、残念だわ。さよなら~」(ママ)
「…プッ」(神様)
それだけほざいて消えやがった!!
ああぁぁ…、なんかもう…なんかもう…うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ~~!!

「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ~~!!」

気が付くと、叫んでいました。
立花さんも「ビクッ」と驚いています。
「一体僕が何をしたっていうんだよぉッッ~~~!!」
僕は逃げ出そうと、人のいない方向に向かって必死に走りだしました。
「エシナ! 捕まえて!!」
「あぁ、わかった。ひゃっひゃっひゃっ…!!」
あれ? ぬいぐるみの性格が変わってないですか?
そんなことを思っているうちに、ものすごい速さで突進してくるぬいぐるみにタックルされました。タックルされた僕は、ものすごい衝撃で吹っ飛んでいきます!
なんでこんなに軽そうな物にここまで吹き飛ばされるのでしょうか?
やはり、速さが大事なのですか?
僕はそんなことを思いながら…、昼休みに食べたパンを口からちょっと出そうになるのを頑張って堪えながら…、地面にトライされました!
そして、うつ伏せになっている僕の背中にぬいぐるみが乗ってきて、上からすごい力で押さえ込まれました。
「お~い! 捕まえたぞ~!!」
ぬいぐるみは、僕を押さえ込んだまま逃がそうとしません。くっそ~、なんか屈辱だぁッ~! いつか消したる!!
「もう、新谷君? 話を最後まで聞いてよね!」
立花さんが僕も元に駆け寄って来きます。そして、目の前にしゃがみこみました。
「さっき抹消するって言ったけど…、条件付きで抹消を取り消してあげてもいいわよって話だったのよ?」
立花さんが「まったくもう…」って感じの困った顔をして言いました。
あれ? 変ですね…、突然周りがざわめきと始めましたよ。

がやがや…、ざわざわ…。
へぇ…、そうだったんだ? 私もてっきり有無も言わずに消すと思ったけどね~。
俺もだよ…、いつもの渚ちゃんならそうするからな。
うんうん、今日の渚ちゃんは優しいですね~。
あいつ…、運がいいな。
そうやな~、さすがワイの相方や!(シパン)

すごい内容がどんどん聞こえているような気がするのは僕の気のせいですか? あと、なんかむかつく声が聞こえたのも僕の気のせいですかぁ~~~!!?

「ちょっと! 聞いている? 人の話?」
よそ見をしていたら怒られてしまいました。
「あっ、ごめんなさい。すいませんでした!」
何で僕がこんな目に…。(ブツブツ)
「今、何かブツブツと文句でも言った? エシナ…」

――――――フォン…フォン………!(エシリウスの発射準備中)

「ひぃッ~、背中から変な音が聞こえるぅぅッッ~~!」
背中から天国へのカウントダウンが聞こえますぅ!
「すいませんでした。すいませんでした!すいませんでした!!すいませんでした!!!」
必死に命乞いしました。
「まぁいいわ、許してあげる。それよりも、今から条件を言うからちゃんと聞いていてね?」
「はいぃぃ~…」
もうどうにでもなれって感じです。
「率直に言うとね、私の盾になってもらいたいの」
あぁなるほど、盾ね。それぐらいなら…って、フオオォォイッッ~~~?
「そういうことだ」
背中に乗っているやつも偉そうに答えました。
「盾って…! なんで盾なの!?」
「だって、“ピスタ”はいつも眠ってて危なげないし…、あっ“ピスタ”っていうのは、私が被っているこの黄色いヘルメットのことよ」

“ピスタ”?

僕は、立花さんが被っている黄色いヘルメットを無言で見ました。でも、これといって別に普通のヘルメットに見えますよ。
「ちょっと! ピスタ!! いい加減に起きなさい!!!」
立花さんが「ゴン!ゴン!ゴン!!」とゲンコツでヘルメットを叩きだしました!
…でも、何も起きなかったです。

「あぁ、ダメね。起きないわ」
「やはり任務の時にしか起きないんだな、ピスタは」
「ねっ、わかった? だからあなたに私の盾になってほしいの」
「全然わからないよ!!!」
「じゃあ、死ぬ?」
「了解致しました! あなたの盾になります!!!」
これぞ忍法“心変わりの術”!
絶妙なタイミングでこの術を発生させていなければ死んでいたところですぅ!

「そう…、よかった。じゃあ時間が無いから、すぐに出発よ!」
「お~い! “ヴェス”! 行くぞ~!!」
ぬいぐるみが走り回っていたラジコンカーに向かって叫びました。
「わかっタ! わかっタ!」
走り回っていたラジコンカーが空中に「ピョンッ」とジャンプしたかと思ったら、次の瞬間、それは虹色の光に包まれました。
僕が気づいた時には、“それ”はさっき見たような、人が乗れるような車になって地面から50cmぐらいの高さに浮かんでいました。

――――――ドォルン…ドォルンッ…ドォルンッ…ドォルンッ!

けっこうシブイ車です。カッコイイなぁ!!
「さぁ! 早く行くわよ!」
「早く立て!」
僕の背中からぬいぐるみがどいて、僕は立花さんに無理やり起こされました。

「ちょっと待って! 最後にこれだけ聞かせて!」
僕の手を引っぱって、立花さんは強引に僕を車の助手席に押し込みました。
「何を?」
立花さんは慣れた感じで車の運転席に乗り込んで来ました。
「変な質問したら殺すぞ?」
くっそぉっ~、こいつッ…、ぬいぐるみの分際でぇ~…!
「何? 早く言って!」
急いでいる立花さんは可愛かったです。
「えっと~、ここは一体どこなんですか?」
他にも聞きたいことがあるけど、今はこれが一番気になります。
「ここは“ソム”よ。正式名称はシークレット・オブ・マウンテン(Secret Of Mountain)。
萩原山の中にある秘密基地よ。頭文字をとって“ソム(SOM)”って言うわ」
えっ!? ここは山の中なんだ…。
「じゃあ、あの変な自動販売機のケーブルがここに通じている入り口なの?」
「そうよ。でも他にも入り口はあるわ」
「お~い! そろそろゲートを開けてくれ~!!」

――――――ゴゴゴゴゴォッッ・…

ぬいぐるみがそう言うと、周りに光が広がっていきました。
「詳しい事は移動しながら話すわ」
天井に大きな四角い穴が開いていきます、そこに向かって僕たちは上昇していきました。

「いってらっしゃーい」
「気をつけてな~」
「死ぬなよ~」

下にいた人たちの声がどんどん小さくなっていきます。
「うわっ、すご~~~!」
僕はありえない状況に興奮していくのが分かりました。僕達を乗せた車は上昇して行き、そして、外に出ました。太陽が木々の葉っぱの間から見え隠れします。
久しぶりに太陽を見た感じがして、少し眩しかったです。

この穴の周りには木々が集まっていて、他からは見えないようになっていました。
気づかないはずです。こんなの衛星写真にも写らないです。
何となく感心してしまいました。
横を見てみると、立花さんはヘルメットにかけていたゴーグルを自分の目にかけていました。そして、「ふっふっふっ…」と不敵な笑みを浮かべています!?

「和也君、それじゃあッッ~~、行っくわよッッッ~~~!!!」
あっ、僕のことを名前で呼んでくれた。ちょっとドキドキ!!
って、え?

立花さんの右足がアクセルを思いっきり踏み込んだのがわかりました。
だって、ものすごい“G”が僕の体を襲ったからです! 国内最強ジェットコースター並の“G”でした。…グフッ!!

「ちょっと、立花さん…! もうすこし優しくしてくれないとぉ…、僕…、壊れちゃうよぉぉッッ~~~! それと、僕“和也君”って呼ばれてドキドキィッ~!」

僕たちを乗せた車は、木々の間を神業的にすり抜けて行き、そして、とっても青い空に向かって飛んで行きました。

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