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”自分に厳しく、地球に優しく” 第5幕

第5幕  新たなる覚醒



あれ? なんか横顔が冷たい? それに頭が痛い。
僕はひんやりと冷たいリノリウムの床の上で目を覚ましました。
「ここはどこ…?」
ゆっくりと起き上がりました。頭がズキズキと痛みます。
顔を上げて周りを観察してみます。
ここは…、研究所みたいな雰囲気を漂わせている廊下です。窓はなくて、天井はそれほど高くはなく、一定の距離に照明が点々と付いています。
「ここは一体…、僕は確か…」
記憶が徐々によみがえっていきます。
「僕は確か…、公園にいて…、そして…」
僕の顔から血の気が引いていきました。
「突然、変な自動販売機に襲われて…、それからどうなったっけ?」
頭を手で押さえながら、必死で記憶をたどっていきます。
「そうだ…、一応、変な自動販売機は倒したんだけど…、その後の漫才大戦で負けちゃったんだ…、そして…」

――――――コツ…コツ…コツ…コツ…

誰かが近いてくる音が聞こえます!
「やばいっ、どこかに隠れないと!」
僕は急いで立ち上がりました。
そして、周りを見渡して、どこか隠れる場所がないか探します!

ゴミ箱…、ダメだ、小さすぎて入れない。
ドア…、ダメだ、誰かがいたらどうする!?
植木鉢…、いやいや無理だって。
中世のヨロイ…、これだぁッ~~~!

僕は急いでヨロイの中に潜り込みました。ヨロイの中は身が凍えるくらい冷たかったです。それに、変な臭いがしました。

――――――コツ…コツ…コツ…

足音が近づいてきます。
よかった。どうやら間に合ったみたいです。ばれなくてよかったです。

――――――コツ…コツ!…コツ!…

突然、僕の目の前でその人は止まったぁああぁっ~~よぉぉおおぉぉ~~~!!?

僕のハートはヨロイを突き破りそうになりました。
「どうかばれませんように…! どうかばれませんように…!」
目をつぶりながら、心の中で強く祈りました。
すると突然、僕のお腹の辺りに心の中の神様(白くて長いヒゲを生やした僕)のミニチュア版が「スゥ~ッ」と現れました。
僕は目を下に向けて、“それ”を見つめます。
「おぬしの最後じゃ…、グッドラック!」
それだけ言って、“それ”は「ニタァ~」とした笑みを浮かべながら消えていきました。
「あんのやろぉおおぉッッ~~~があぁぁッッ~~~!!!」
僕は心の中で高く高く叫びました。怒りで瞳が「ピシッ!」と砕けそうになりました!

「いやぁ~、いつ見てもコレは迫力があるね~」

唐突に、目の前の人の声が聞こえました。僕は息と耳を潜めます。

「さすが中世の怪物“ベルセルク”が着ていたヨロイだけのことはあるね~。うーん…、良い買い物したなぁ~、僕!」

――――――コツ!…コツ…コツ…コツ…コツ…コツ…

足音が遠ざかって行きます。そしてしばらくすると、足音は完全に聞こえなくなりました。後に残ったのは、「ガチガチ」と震える僕だけでした。
「よ…よかったぁ…、てっきりばれたのかと思ったよ」
僕は「はぁ~…」とため息をつきました。安堵のため息です。

「とりあえず、現在の状況を確認しよう」
ヨロイの中でじっと考えてみます。
まず、ここにはあの変な自動販売機の変なケーブルに吸い込まれてきたんだよね?
でも、どうしてこんな所につながっているんでしょうか? まったく分かりません!
まぁ…、原理を今考えても仕方ないかな。恐らく、僕の考えなんかでは到底理解できないものなのでしょう。
じゃあ、ここから逃げると時はどうやって逃げればいいんでしょうか?
来た時と同じように、変なケーブルに吸い込まれないといけないのせしょうか?
でもここにはケーブルらしきものは見当たらないです。じゃあ…、どうすればいいんでしょうか?

………うおぉッ~! わっかんねぇ~~! 僕はどうなってしまうんだあぁッ~~!

頭から「メリッ」という音が聞こえます。僕の脳みそが破裂しそうになる音です!
「とにかく出口を探そう!」
うだうだ考えていてもしょうがないです。僕はここからすぐに脱出することに決めました。
他に誰か来ないかと耳を済ませ…。
…よし、足音は何も聞こえません。だから、僕は安心してとヨロイから出ました

「ん?」
なんとなく自分の服を「パッパッ」と叩きました。
でも、変な臭いがするので、何かな? と思いました。
ふと…、自分の服の臭いを嗅いでみたら、とてつもない血生臭い臭いがしました!
「うげぇ~、ナニこれナニこれナニこれキモチわるいぃぃッ!?」
全然状況が理解できません!
僕の全身から「プンプン! プンプン!」と血と鉄の臭いがします。
僕はヨロイを見ました。そして理解しました。
「コイツのせいかぁあぁああッッ~~~!!」
よく見てみると、このヨロイにはおびただしい量の乾いた血がこびり付いていました。
さっき隠れるときは無我夢中で気がつかなかったけど、改めて今見てみるとすごく気持ち悪いッ!!
ここまで血がこびり付いてるヨロイを作るには、血の池に50回ぐらい浸からないとできないだろうと思います!
さすが中世の怪物“ベルセルク”だ! と感心する間もなく、
「うげぇえぇぇええッッ~~…!」
と、ゴミ箱に吐いてしまいました。
僕は…、血がダメなのです。血を見たり、血の臭いを嗅ぐだけでノックダウンアンドKOしてしまいます。そんな僕が、こんなにもすさまじい血の量を見ちゃったら………、そりゃ吐くわ!!! (マジ切れ)
「はぁ…、はぁ…、ダメだ…、早く…、着替えないと…!」
僕は吐くのをこらえながら、近くにあったドアに近づきました。誰か居ないかと、僕は冷静に判断し、ドアに耳を当てて中の様子を探ってみました。

…よし、何も聞こえない。誰もいない…。

僕はそっとドアのノブを回して、少しドアを押しました。

――――――ギイィィ…

「…どなたかいらっしゃいますかぁ~?」
…返事はないです。ドアを全部開けて部屋の中に入りました。
そして、前を向きながら後ろ手でそっとドアを閉めて、部屋の様子を伺いました。

ここは…、ロッカールーム!? 

なんて僕は運がいいんだ! と自分に感心しました。
目の前には、ロッカーが30個ぐらいありました。まるでプール場のロッカールームみたいです。
僕は急いで制服を脱いで、鍵がかかってないロッカーを探します。

――――――ガチャ…

「やった! 開いたぁ!」
6番目に確かめたロッカーが開きました。中を見てみると、そこには白衣の上下セットがハンガーで吊るされていました。上着の左胸ポケットの辺りに名札が付いています。
名札には…、石川と書いてあります。
「石川さん、黙って白衣借りま~す!」
一応、謝ってから、僕はロッカーから白衣を取り出して、慣れない手つきでそれを着ました。
着てみてから気づいたけど、これは僕には大きすぎました。サイズが違いすぎです。手は袖の外には出なくて、袖は情けなく「だらーん」としています。上着は地面を引きずってしまいます。ズボンも長すぎて、僕の足はズボンの外に出て行きませんでした。
しょうがないので、裾を折り曲げて手を出せるようにし、ズボンも折り曲げて足が出せるようにしました。上着が地面を引きずってしまうのはちょっと気になるけど、気にしないことにしました。
着ていた制服は、このロッカーに一緒に入っていたコンビニの袋に無理やり詰め込みました。
着替えが終わって、ふと部屋の隅っこのほうを向いたとき…、僕はこの部屋に大きな立て鏡があることに気が付きました。
その鏡の前に立ってみました。するとそこには、絶世の科学美少年の姿が!!!

「だ…、誰だ君は!?」

僕は鏡の中の美少年に叫んでしまいました。でもすぐにそれは自分だと気が付きました。目の前には、真っ白な白衣に包まれている驚いた表情の僕が立っています。
「なぁんだ僕かぁ…、それにしても…、僕って…」
僕は鏡の中の自分を見つめながら、いろんなポーズをとり始めました。
「う~ん、これいいね~! おぉ、このポーズもいい! え? これも!? わぁ、これはやばいな…、放送できないな…。う~ん、やっぱりこのポーズが一番いいなぁッ~!」
ドキドキしながら自分のポーズを変え続ける僕!
新たな力が覚醒していくのがわかる…! うおおぉぉおおぉッッ~~~~!!
僕の隠された本能の一部が「いいね~、いいね~!」と僕に語りかけています。

すると突然、目の前に「ボンッ!」と本能の一部が具現化して現れました!
それは、銀座のママみたいな格好と化粧をした、ちっちゃな僕でした。
「あんたぁ…、ウチの店で働いてみない?」
突然のスカウトに僕は驚いちゃったよ、あはっ。
「それ」はおばさんボイスで僕を勧誘してきました。

「えっ、お店って…、どんなお店ですか?」
僕は興味が湧いてきたのでそのママに聞いてみました。
「お店の名前は“美少年の館”よ。客層は………、目の肥えたおじさまよ!」
「うがあぁッッ~~! 遠慮しときますぅ~~~!!」
僕は地面をゴロゴロと転がりました。
「そう、残念ね…。また今度お会いしたら、覚悟しといてね」
それだけ言うとママは、「ボンッ!」と姿を消してしまいました。
「なんだよ~、覚悟って~!? 何の覚悟だよ~!? 教えてよママぁッ~~~!!」
しかし、聞こえてくるのは僕のすすり泣く声だけでした。
えっぐえっぐと泣きながら目の前の鏡を見てみます。そこには泣き顔の僕が白衣を身にまとって座っていました。その姿が僕の目に飛び込んできたとき、また僕の意識は異次元の世界にに飛ばされてしまった!(うっとりと)

もう僕は現実の世界に帰っては来られないのでしょうかッ!? 
このまま永遠に異次元の世界を漂ってしまうのでしょうかッ!?
僕の無意識な部分の本能がそう思っていたとき、そんな僕を救ってくれたのが、

――――――タツ…タツ…タッ…タッ…!

「誰かがまた近づいてくる! しかも走って!!」
僕は、この足音で現実世界に帰ってくることができました。ありがとう不審者!!
あっ、不審者は僕か?
そんなことを考えているうちに、足音がこの部屋の前で「タンッ!」と止まったのが聞こえました。
「やばいやばいやばい…!」
僕はものすごい速さでロッカーの中に入りました。このときの速さを見た人は、僕のことを今後「疾風のカズヤ」と呼ぶでしょう!
そっと、ロッカーの扉を閉めて、息を潜めます。

――――――ギイィィ…、バタン!

「はぁ~…。ごめんね、忘れ物しちゃって」
「まったく…、渚は忘れ物が多すぎるぞ!?」
「だからごめんって言ってるでしょ? 今回は急な任務だし、学校も黙って抜け出してきちゃったし…」
「ごめんで済んだら人は殺されないのか?」
「なによそれ!? 人はいつか死ぬのよ! だから命乞いなんてムダなのよ!!」
「なにを言ってるんだ! 死んだら意味がなくなっちまうだろ! そんなこともわからないのか渚は!!」

………話が最初とずれている気がします。

「命乞いしてまで私は生き延びたくないわ! そんなの…、いい生き恥よ!!」
「ばっきゃろぉ~!!!」

――――――バシッ!

「ッ!? 叩いたね? お父さんにもぶたれた事ないのにぃッ~~~!!」
「あぁ、叩いてやるさ! 何度でも!! 俺は…、渚のパートナーだからな!」
「エシナ…?」
「もし…、渚の身に何かが起きたら、俺は…、俺は…! 自分が許せねぇ!!」

僕………、感動して前がびべまぜん!!(見えません!!)

「エシナ…、ごめんね(グスッ)。これからはもっと自分のこと大事にするよ…。だから…、いつまでも私のそばにいてくれる?」
「当たり前だろ!(グスッ)。さっさと忘れ物を取ってこい!!(グスッ)」
「ありがとう…。初めてエシナのこと…、ううん、なんでもないわ」
「そ…、そうか(ドキドキ!)、頼むから早く取ってこい!!」
「くすっ、わかったわ」

そして、「ガチャッ」と隣のロッカーが開けられたのが聞こえました。
その時の僕は、びっくりしすぎて気を失いそうになりましたねっ。
「あっぶなぁ~、ばれてないよね?」と思っている僕の横で、「えぇっとぉ…、あったあった」と立花さんの嬉しそうな声が聞こえました。

「やっぱりこのゴーグルがないと、いい雰囲気がでないのよねぇ~」
「いい雰囲気のためじゃなくて、目を守るためにゴーグルを装備するんだからな! 遊びじゃないぞ」
「うん。そこはちゃんと心がけているから安心してエシナ!」
「ほんとかどうか疑わしいが、一応納得しといてやるよ」
「ありがと! エシナ!!」

…この声の主は、本当に立花さんなのかな?
学校での彼女と、今の彼女とのギャップが激しすぎて混乱してきました。
まぁ…、こっちの彼女のほうが本当の彼女だとは思うけど、やっぱりまだ信じられないです。あの、外見は大和撫子みたいな立花さんがこんなギャル(死語)みたいな会話を発生させているとは…。もう2009年だからなぁ…、時間が経過していけば、人は変わっていくんだなぁ…と、しみじみ思いました。

「じゃ、行こっか?」
「あぁ…、地球を汚すやつらに血の制裁を!」
「もう、変な言い方しないでよエシナ。普通に“殺してやる”って言ってよね」
「こっちの言い方の方がいい雰囲気が出るだろ?」
「あははっ、そうね。…あっ、早く行かないとお父さんに怒られちゃうわよ?」
「わかった急ごう。それにしても“ピスタ”は静かに寝てるな」
「この子は任務が始まってから起きるのよ」

――――――ギィィ…、バタン! タッ!…タッ!…タッ…タッ………

「ふ~っ…、行ったかぁ」
ちょっと暗いロッカーの中で「ばれなくて済んだ」とほっとしました。
もう足音はどこからも聞こえないので、「よっこらせっ」とロッカーから出ました。僕の体はちょっと熱を帯びていて、汗が額に浮かび上がっていました。
「さて…、今からどうしよっかな?」
額の汗を手でぬぐってから、先ほどの立花さんたちの会話を頭の中でじっくりと考えてみます。

簡単にまとめるとこうです!
立花さんは“ある任務”のために学校を黙って抜け出しました。そして、その任務のパートナーは、あの“エシナ”っていう名前のぬいぐるみ。任務の内容は、「人を人とは思わないやつらを殺すこと…」。
はぁぁ~~~、ちょっと待ってくださいよ。なにこの話?
どこの世界の話だよ? って感じです。
立花さんはつまりその…、“殺し屋”ってやつですかぁ?
あの、立花さんが?
でも人は「外見で判断したらダメよ」ってお母さんが言ってたしなぁ~…。
あぁっ、思春期真っ只中な僕です! 悩んでしまいます!
あぁもう、どうすればいいんだよ僕はぁぁッッ~!?
立花さんを連れ戻すことはもう無理だよ! 無理ムリむり!! 絶対にぃ~~~!!!
とりあえず、沢田さんにはちゃんと説明して許してもらおう。ありのままを話そう。そうすればきっと! 沢田さんもわかってくれるはずです!!
例え、どんな内容の話でも、真剣に話せば誰だってわかってくれるさ!
あの沢田さんでも…、たぶん!

そんな希望(絶望)を抱き、僕は入り口のドアの前に立ちます。
そして、また誰か来ないか耳を潜めます。

…よし、大丈夫だ。

扉をゆっくりと開けて廊下に出ました。
そして、僕は自分の制服が入っているコンビニの袋の存在を忘れていたことに気づいて、あわてて袋を取りに戻って、また廊下にゆっくりと出ました。

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