Login

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


”ツンデ・レデン・刹ッ”の第23幕


 ふぁ~、疲れる~☆ 今まで書いた小説を見直しつつ、新しい話を考えるのは中々大変ですね。しかも、見直ししているときに誤字を発見したりすると落ち込むし、追加した文章がかなりあって、今25ページ分の見直しをしただけで、追加文章で3ページ増えましたよ。
 だ~っ、疲れる~~~っ、けど楽しいっ♪

 では、”ツンデ・レデン・刹ッ”の第23幕 メイド喫茶計画

 スタートッ!



第23幕  メイド喫茶計画



 残りHP3というギリギリの状態ではあるが、俺は自分の足で教室に戻っている。木造の校舎の廊下は所々が傷んでいて、一歩進めるごとに<ギシッ>と軋むんだよッ!
 あの後、俺はズタボロになるも何とか生き残った。もし常人があの攻撃を受けていたら、すでにお前は死んでいるッ、状態だぜ?
視線を廊下の床から真正面に垂直移動する。その先には、レデンと野々原とマドフェフカが仲良く並んで歩いていた。
 俺を切り刻みまくったおかげで、レデンのストレスは綺麗に消滅したのだろう。前を歩く集団からはしきりに笑い声が聞こえてくる。今のところは安全なようだ。
 なぁ……、思うんだけどさ……。このままの上機嫌を永久保存し、一生この上機嫌を維持させることが出来る装置を誰か作ってくれよ。そうすれば、俺は切り刻み地獄に陥ることは無くなると思うんだ。
 そんな夢の有る話を脳内処理していると、

「ニャ~! もう授業が始まるニャ~」

 心成しか嬉しそうなレデンの声が響く。
「今何時だ?」
 さっきの戦闘でボロボロになってしまった自分の腕時計を見ると、午後の授業開始までギリギリの時刻だった。
「ご主人様も早く入るニャ~」
 レデンはこっちには振り返って、いつも通りの笑顔を振りまいてくれた。
「あぁ……」
 扉は開いていたので、そのまま俺達は中へ入っていった。見ると、俺達以外のやつらはすでに席に座っていた。
「間に合いましたね。レデンさん、野々原さん、マドフェフカさん、……」
 時雨はというと、黒板前の教卓台に立ち、何故かお腹を押さえながら今入ってきた自分の生徒たちを確認していた。心なしか少し顔色が悪いように見える。
「……えっ……?」
 それに、時雨はレデン達の後ろから姿を現した俺と目が合うと、何故か口をあんぐりと開けて硬直してしまった。
 俺はそんな時雨を無視して、ゆっくりとパイプ椅子に座った。

――――――ギュルルル~

 同時に腹が鳴った。
 そうだよ……、俺は昼飯食ってなかったんだよ。はぅ……、違う意味で苦しい。確か時雨のオニギリがあったな。
 オニギリ供給機の時雨の存在を思い出し、教卓に視線を移した。そこには、俺を見て「あわわ~」と変な事を言って驚いているダメな女がいた。
「時雨先生、オニギリまだ残っているか?」
 いつもよりかは優しく言ったつもりだったが、時雨の様子がおかしい。まるで俺の声なんて聞こえていないのか、ガタガタと震えているだけだ。
「おい、時雨先生~聞いているか~」
 空腹でキレかけていたので、軽くド突いてやろうかと思っていたら、
「し……新谷先生がッ……!」
「……何だよッ」
「縮んじゃっていますっ!」
 ガビーンという音が何処からか聞こえてきてもいいような驚き方だった。
 だが、そんな音が聞こえるわけは無い。代わりにクラス中の視線が俺に集中したぐらいだな。
「ししししし、新谷先生ッ? どどどどどうし」
「まぁ落ち着け」
 時雨の肩を掴んで、UFOキャッチャーの要領で俺がさっきまで座っていたパイプ椅子に<ウィーン><ガチャンッ>と投下成功。
 うっ……、動いたら余計に腹が減った……。腹に穴が空いたぐらいだからな。いろいろ抜けたんだろうな。
 やばい……、早く何か食わないと……。時雨の肩を掴む手に力が入る。
「そんなことよりもオニギリはどこだッ!?」
「え……、はひ……、教卓の上に……」
 時雨の指の先……、なるほど……、昼休みの時から手付かずの状態で確かにそこにある。
 あれっ? と言うことは、
「何だ……、時雨先生もまだ食べていないのか?」
「は……はひ……」
 空腹のせいか、あんまり呂律が回っていないぞ。俺なんか待っていなくても良かったのにな。女って妙なところで律儀なんだよな。だけど、待っていてくれて嬉しいぞ。
 だから少しだけ、ほんの少しだけ感謝の意を瞳に込めて時雨を見つめた。
「済まなかったな、待っていてくれたのか。ほらっ、早く食べようぜ」
 オニギリの1つを時雨に投げて渡した。危うく落としそうになったが、時雨は何とかキャッチしてくれた。それを見届けてから、俺はオニギリをかじった。
「おぉっ、何故だかかなり美味く感じるぞっ!<ムシャムシャ>」
 昨日と同じ具が入っているオニギリ。それが無性に美味かった。
「そ……それはどうも……<ムシャムシャ>」
 しばらく<ムシャムシャ>だけがこの空間に漂った。
他の奴らは沈黙を守りつつも、俺をジ~ッと見ていた。何がそんなに珍しいんだろうな?  まぁ、女の子に見つめられるのはキライじゃないからいいけどな。
「ご馳走さんっ」
「お粗末さまです<ムシャムシャ>」
 時雨はまだ食べ終えていない。早くあの話をこいつら皆に発表したいっていうのによっ。
 不意に何かが手に当たった。
「あっ」
 飲み物発見。教卓の上に銀色の水筒がポツリ、中身は不明。だけど、ノドが乾いて死にそうだぜ。
「これ、時雨のか?」
 手についた米粒を慎重に取って口に運んでいた時雨は、その動作を一時中断して俺を見た。
「はいっ、グレープジュースが入っています」
「飲んでいいか?」
「どうぞ」
 承諾を得たのでフタを開けて、水筒を傾けると中からは薄い黄色の透明な液体が出てきた。さっき見た変な青色をした液体とは比べほどにならないほど美味しそうだ。
 フタに並々満たされたジュースを一気に飲み干す。
「プハーッ、これ美味いなっ」
 今まで飲んだジュースの中で一番美味いと言っても過言じゃなかった。
「はいっ、私が作りましたっ」
 満面の笑みを浮かべた時雨の手には、もうオニギリは残っていなかった。
「時雨も飲むか?」
「え……、はい。飲みます」
 フタを時雨に渡し、水筒の中身を注いでやった。
「……………」
 だが、時雨はジュースで満たされた水面をじっと見つめたまま、なかなか口を付けようとはしない。
「おい? 早く飲めよ」
「えっ? ははは……、はいっ」
 急に顔が赤くなったような気がする。スーハー、スーハーと呼吸を整える音も聞こえる。時雨……、ついに壊れたのか。

――――――グイッ
 
決心がついたのか、時雨はピンとご立派な姿勢に整えてから、勢い良くフタの中身を飲み干した。……と思ったら、
「ゲホッ、ゴホッ、気管に……、ゴホッ……」
 軽く咽ていた。
「何をやっているんだ……」
「ゲホッ……、すいま……、ゴホッ……、せん……」
 咽たせいかは知らないが、時雨の瞳は薄っすらと潤んでいた。
「ふー……、死ぬかと思いましたよ」
「それは昼休みの俺にこそ相応しいセリフだな」
 腹に穴が多数空き、変な薬を飲まされ、レデンの攻撃にも耐えた……。何てヒドイ昼休みだったんだろうか……。やべっ、泣けてくる。
「ほえ? 何かあったんですか?」
「あぁ、良く見ろよ。全身ズタボロだろ?」
 時雨に俺の姿が良く見えるようにポーズを取ってやった。
「そんなことよりも、新谷先生の体が縮んでしまったことの方が気になりますよッ」

……そんなこと?

「そんな事とは何だッ、そんな事とはッ!!」
 俺があの短い時間にどれだけの死線を潜り抜けてきたと思っているんだッ。そんなことを言ったのはこの口かッ、おいッ。
「あぐぐぅ~……! 頬っぺたが千切れます~!」
 両手で時雨の頬っぺたを思いっきり引っ張ってやった。時雨の頬っぺたは恐ろしいほど柔らかかったが、流石にこの怒れる力を分散させることは不可能だったようだ。
「ごめんなしゃい~」
 まるで小さな女の子が、お母さんに叱られて泣きながら謝っているかのようだった。
「よしっ、分かればいい!」
 離してやる。
「あぐぅ……、ヒドイですよ」
「人の気持ちを考えない時雨先生が悪いッ」
 シクシクと泣き出した時雨はもう放っておこう。今、この場で言うことの方が何倍も大事だ。

 教卓に立った俺は、さっきまでの俺と時雨のやり取りを黙って見ていてくれた心優しいこいつ等に、単刀直入に話を切り出した。
「え~、諸君。5時間目の授業は一時中断だ。俺の体が縮んでしまったことにもノーコメントだ。何故なら、授業よりも俺の体よりも、もっと遥かに重要な話がお前達にあるからだッ」
 俺の体が縮んでしまったことに関してはノーコメントで宜しくと言ったのに、所々で、「野々原さんの薬のせいね……」、「今回は若返りの薬を作ったか……」、「モルモットがいてくれて助かった」などと聞こえてきた。
 はぁ……、コイツらのせいでイヤな事を思い出してしまったじゃないか。あまり考えないようにしていたのによ。だけど……、まぁ……、野々原に対する復讐は次の機会に取っておくとして、今はメイド喫茶の話の方が先決だな。心の切り替えというものは、結構大事なんだぜ?
 黒板に振り返った俺は、白いチョークを力強く持ち、書道の達人になったつもりでこう書き殴った。

――――――「モウマンタイ組メイド喫茶化計画ッ!!!」

 見事な達筆だ。惚れ惚れするぜ。
 しばし自分が書いた字に見とれてから、説明に入った。
「ふっふっふっ……、詳細を今から言」
 えなかった。

――――――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 我がクラスの女子達のマドフェフカ以外は全員立ち上がり、なんとも言えない憎悪やら悪意やら、そんなマイナスなエネルギーを大量に放射しつつ、ギラギラとした殺人者の瞳で俺を睨んでいる。いつものパターンなら、ここで俺は撲殺惨殺絞殺されるんだが、今回はそうはならないんだよな~。
「ふっ……」
 ジョークを軽く鼻であしらう様に、微笑をこぼしてしまった。
そんな俺の仕草を見て、モウモンタイ組のやつ等は少しだけ動揺したのか、殺人者の瞳から傍観者の瞳へとランクダウンさせた。ここで一気に畳み掛けるッ。
「ふっふっふっ……、お前達? 何を勘違いしているんだ? コレは俺の決めたことじゃない。そこに座っているマドフェフカ委員長が決めたことなんだぜ?」

――――――『えっ?』

 皆がマドフェフカを一斉に見る。見られた当人……、マドフェフカはというと、じっと下を向いて俯いていた。
「お……、おいっ。マドフェフカッ? 本当なのかよッ!?」
 レデンの後ろの席で叫んだのは九尾 紺。レデンと同じような耳とシッポを持ち、その紅蓮の如き赤き髪は見る者全てを魅了する美しさだ。だが、その髪の下にいる九尾本体は、どうしようもなく気が強くてムカツク。
「なんとか言えよッ、マドフェフカッ」
 声も高い。コイツはいつもこんなにも騒がしいのだろうか?
「おいおい九尾……。そんなに怒鳴るなよ。今からちゃんと説明してくれるさ。そうだろ、マドフェフカ委員長?」
「……はイ……」
 力なく立ち上がったマドフェフカには、生気は感じられなかった。
だが、しゃべる元気だけは残っていたようだ。

「皆さン……、我がクラスは学園祭で“メイド喫茶”を行いまス。異論ハ……、認めることはできませン……。以上でス……」
 そして、崩れ落ちるように席に座った。
「……だそうだ? 納得したか九尾」
「できるわけないだろッ!」
 <バンッ>と自分の机を叩いた九尾は、まるで親の敵でも睨みつけるかのように俺を見た。
「マドフェフカに何をしたッ?」
「別に? マドフェフカには委員長としての役割を担ってもらっただけのことさ。それ以上でもそれ以下でもない」
「黙れこのクソ野郎ッ! おいっ、マドフェフカッ! こんなヤツの言うことなんか聞かなくていいんだぞッ!」
 何だか俺が悪者みたいな言い方だな。心外だぞ?
 九尾の叫びに少しだけ顔を上げたマドフェフカだったが、
「……ごめんなさいでス……」
 すぐにまた俯いてしまった。
「まったく……、九尾も困った奴だな。委員長の決定はクラスの決定。 何者にも変えることはできないのさ」
「……このクソ教師ッ」
 まるでティラノザウルスに睨まれているかの様なすごい殺気だ。だが、それがどうした。お前は逆らえないんだぞ。その事実を丁寧に教えてやることにする。
「……九尾、それ以上うるさくすると、お前らには激やばメイド服を贈呈することになるぞ?」
「……ッ!」
 殺気が消えた。代わりに生まれたのは動揺。
「ひ……卑怯者ッ」
「ん? 何のことを言っているのか俺には分からないな」
 笑いがこみ上げてくる。俺に抵抗できないだろう……、このクソガキッ。
「……くっ……そぉ……!」
 ようやく諦めたのか、九尾もマドフェフカと同じように俯き、席に座った。その様子を心配そうに見守っていた皆も、九尾が諦めてしまったので仕方なしにと着席した。

 俺は確信した。これで……、もう誰も逆らうことはない。だから言っただろ? 俺は一度やると決めたことは必ず実行する男だと。メイド喫茶を邪魔することなど、最初から不可能だったのさ、きゃほ~いっ。独裁ってこういうもんなのかね。
 気分を良くした俺は、話をどんどん進めることにする。
「よしっ、皆が快く受け入れてくれたところで、今後の活動予定を決めたいと思う。マドフェフカ委員長。今から俺が言うことを黒板に書き綴ってはくれないかな?」
 皆がまた一斉にマドフェフカを見た。だが、今度は誰も声を賭けようとはしなかった。さっきまで元気良く叫んでいたいた九尾も、今では大人しくしている。
「……分かりましタ」
 ユラ~っと立ち上がったマドフェフカは、自分に皆の視線が集まっていることを気にするそぶりも見せず、路上を彷徨う浮遊霊のようにフラフラ~と黒板の前まで歩いてきた。そして白いチョークを持つと、何故かそれをジ~ッと見つめた。まるで、先の尖ったナイフを見ているかのように。
 俺はすかさずマドフェフカとの距離を取った。何故なら、今のマドフェフカに背中を向けると襲い掛かってきそうだったからだ。
「(危ない危ない……)」
 初心者だったら殺されていたところだ。だが、俺様は上級者。油断も隙も無いのさ。

 マドフェフカとの距離を一定に保ちつつ、今後の活動の説明を開始する。
「いいか皆、良く聞け。知っての通り、学園祭までは残り一週間しかない。時間はほとんど残っていないといっても過言じゃない。だが……」
ここで<バンッ>と教卓を叩く。
「お前達ならやってくれると俺は信じているッ!」
 教卓に両手を置きながら、青春学園ドラマに出てくる熱血先生みたいに言ってみたぜ。演技には自信があるんだ。さらに、ここで涙の一つでも流したら、俺の情熱をこいつ等にすべて伝えることができると思ったが、涙なんて俺には似合わないぜ。
 それにしても、黒板から今の感動文を書き綴る音が聞こえないぞ。まったく……、しょうがないヤツだな。いちいち注意しないといけないのかよ。
「おい、マドフェフカ。今の感動文もちゃんと黒板に書けよ」

――――――ペキィ……

 マドフェフカは俺の目の前でチョークを握りつぶした。
「いや、今のは関係なかったな」
 話を戻そう。
「時間が無い。だから、各人の役割を決め、効率よく物事を進める必要がある。俺が考えた役割は次の四つだ。マドフェフカ委員長、今から俺が言うことを書き綴っていってくれ」
「……分かりましタ」
 新しいチョークを握り締めたマドフェフカは、<コクリ>と首を落として答えた。
「いいか……、各役割は次の通りだ」

(メイド喫茶成功のための役割分担)

1:メイドになるための調きょ……、教育
2:神聖にして絶対の象徴であるメイド服の製作
3:メイド喫茶で出す料理の思案・調理
4:自分たちの店を知ってもらうための学内外の宣伝

 上記の内容が黒板に箇条書きされた。だが、マドフェフカが書いた文字は微妙にうねっていて、読みづらいし、書き終えたときにチョークが粉砕される音が聞こえてもうワケ分からんかったぜ。
 それに、こいつ等から反論があるかと思っていたが、思惑は外れたようで誰も何も言ってこなかった。逆に何か企んでいそうで怖い。
「よしっ、では以上の四つの役割を持つグループに今から分かれてもらうッ」
 物事というのはスムーズに進めなければいけない。立ち止まることは其れ即ち死を意味する。いけるときにいくッ。これ勝利の法則あるね。

「あの……、新谷先生……」
 自信なさ気に手を上げたのは、一番前の席に座っている北条だった。フルートを吹くと言葉で表すのを躊躇してしまうようなぐらい恐ろしい物体が集まってきてしまう奇妙な体質を持つ少女は、その外見からは想像もつかないような不幸を持っているのだ。純粋であるイイ子だとは思うが、状況によっては、ある意味レデンよりもタチが悪い。
「何だ、北条?」
「あ……、いえっ……、その……」
 <モジモジ>と両手の指を絡めてながら、

「メイドって何ですか?」

 俺はその場で盛大にコケた。



(次回予告)

 北条にメイドをやらせるのは止めておこう。うん、それがいい。

スポンサーサイト


この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

この記事に対するトラックバック

トラックバックURL
http://i375ns.blog51.fc2.com/tb.php/128-0e33bf87
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。