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”ツンデ・レデン・刹ッ”の第21幕

ん~っ、土曜日にバイトが無いって言うのはサイコーですね~。いや~、サイコーです。何度でも言いましょう、サイコーです。はいっ、もうスッキリです。

レポートも片付け、肩の上に乗っかっている負担が格段に減少します。土曜日…(・∀・)イイ!!

今日は弟の友達と遊んだり、自分の友達と遊んだり、レポートを片付けたり、小説を書いたりと大忙しでした。

こんな日が…、いつまでも続けばいいと思う今日この頃ですっ♪

では、”ツンデ・レデン・刹ッ”の第21幕  守りし者

スタートッ!



第21幕  守りし者



危機に立たされた人間が、その危機から脱出するためには何が必要だと思う?
まず1つ目。それはパニックに陥らないこと。冷静な判断ができなければ生き残ることなどできるはずがねぇ。
そして次のステップとしての2つ目。それは自分が今置かれている状況を確認することだ。
で、やってみた。
1:腹に5箇所ほど穴が開いている
2:昼飯をまだ食っていないから力が入らん
3:そろそろ髪切るか…
という情報を統合して出した結論。

――――――「逃げるッ!!!」

そう叫んだ。逃げるしかない。コイツはやばい。
後ろに振り返って走り出そうとした。だが、

――――――「どこへですかな?」

体が硬直する。振り返った先にいた…、マドフェフカの執事のせいで。
「(いつの間に…、俺の後ろに移動したんだ)」
さっきまで俺の目の前にいたはずなのに…、やべぇ…、コイツはマジやばい野郎だ、寒気がするほどに。
「私はただ質問しているだけですよ」
執事が嫌な笑みを浮かべながら近づいた来る。ゆっくり、一歩ずつ確実に。
「貴方はこの国の総理大臣…、相良 龍之介と知り合いなのかと聞いているんです」
あと一歩で体がぶつかるといった距離で執事が停止。したと思ったら、体を前に乗り出して俺のすぐ目の前まで執事の顔が近づいて来た。しかし俺は怯むことなく、異様な殺気を帯びている目を睨みつけた。
「知り合いだったらどうだって言うんだよッ? あぁッ!?」
腹を押さえている手に力が入る。これは血がこれ以上出ないように力を込めたんじゃない。ただ、何となく自分を振るいただせるために力を込めただけなんだ。
「知り合いだったら聞きたいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」
今度は少しだけ見えた。

――――――ガシッ

「うぐぅッ!」
執事が右手を前に出したと思ったら、次の瞬間には俺の首は掴まれていた。
これは…、さらに状況が悪化したと言ってもいいだろうな。俺が一体何をしたってんだよ。こんなことをされる身に覚えはねぇ。
「人に物を頼むときの礼儀ってもんがなっていねぇぞ…」
息がしづらい。意識も遠のく。だが、俺は負けない。
「おやおや、これは失礼を…」

――――――ギュー…

「ぐはぁッ!」
首にすごい力が入ってくる。息が…できない。体も宙に浮いてきた。
お前…、言っていることとやっていることが全然違…。

――――――「じぃやッ!」

女の子の悲痛な声。その声が鳴り響く中、フッと首から手が抜けた。そのおかげで足が地面に1秒ぶりに着いた。
「げほっ、げほっ…」
呪縛から解放された俺だったが、そのまま地面に膝を付いて倒れてしまった。
ノドを押さえながら咳き込む。やばい…。今のはクソやばかった。意識が飛んじまうところだったぜ。
「お嬢様、どうかしましたか?」
目の前に映る黒い靴がマドフェフカへと向かっていった。それを横目で見ながら、俺はどうやってこの状況から逃げるか考えていた。しかし、そんな考えをも遮断してしまう小さな声が聞こえた。
「どうしてですカ、じぃや…。どうして…、新谷先生にひどいことをするのですカ?」
見ると、マドフェフカは両手を顔に当てながら泣いていた。
「お嬢様…、泣かないで下さいませ。お嬢様が泣かれると私は悲しいです。ほら、笑って下さい」
背の高い執事が少ししゃがみ込んでマドフェフカの頭を撫でている。俺はその様子を伺いながら、ゆっくりと立ち上がった。
「おい…、執事ぃ…」
まだノドが痛い。だからしゃがれた声しか出せなかったぜ。
「はい?」
マドフェフカの頭を撫でるのを止めて、執事は体をこっちに向き直した。
腹のキズは深い、だけど俺は腹を押さえるのを止めて、その血まみれの手で野郎を指差した。
「女の子を泣かせるようなヤツには、教えることは何も無ぇよ」
「このクソ野郎」とつき足したかったが。

――――――ドゴォ!

体が宙を吹き飛んでいた。
「年上には敬語を使うものですよ?」
俺を蹴り飛ばした執事の言葉が脳の中にいきわたる間に、俺は一言も声が出ないまま草むらへと<ズザザァァァ!>と背中から胴体着陸した。
「新谷先生ッ!」
こっちに誰かが駆け寄ってくる音が聞こえる。
「じぃやッ! もう止めてくださイ!」
頭を誰かに支えられた。目を開けると、そこにはマドフェフカの悲しそうな横顔があった。
「どうしてこんなこト…」
「お嬢様」
この時、マドフェフカの手から<ビクゥ!>と震えが伝わってきた。
「じぃやの初めてのワガママを聞いてください。これが最初で最後のワガママです。お嬢様…、そこを退いて下さい」
「イヤですッ!!!」
頬に水滴が落ちてきた。冷たい。あぁ…、マドフェフカ、お前また泣いているのかよ。しょうがないヤツだ。
「…よっこいしょっと!」
地面に片手を着きながらいきよい良く立ち上がった。
「おや、まだそんな力が残っていたのですか」
パチパチパチと嫌味たっぷりな拍手をしながら執事は笑っていた。
「うっせぇな、ちゃんと鍛えてあんだよ」
血交じりのツバを草むらに吐き出し、俺は再度執事を睨みつけた。
「てめぇがあのクソジジィにどんな因縁を持っているにしろ、俺に八つ当たりするのはお門違いじゃねぇか?」
「ふむ…」と首をかしげた執事。3秒ぐらいそうしていたが、
「なるほど、これが八つ当たりですか。ふふっ…、そうですね。これは八つ当たりです。では改めて申し上げます。何の恨みもありませんが、貴方に八つ当たりをさせてもらいます」
執事が構える。
「そりゃぁご丁寧に…」
俺も構える。
「新谷先生、逃げてくださイ! じぃやには絶対に敵いませン!」
マドフェフカに腕を掴まれた。その力だけで俺は少しよろけてしまった。
「やってみねぇと分かんねぇよ」
強引に手を振り払った。
「お嬢様。じぃやからの最初で最後のワガママです。目を…閉じていて下さい」
「だってさ? 俺からも頼むよ」
マドフェフカの返答を待たないまま、二人はお互いの方向へと駆け出した。
「イヤ…」
息を吹きかけたら消えてしまうような小さな声。
「イヤァァァ~~~!!!」

――――――ズガァァァ…!!!

何が起こったのかは分からない。確かに手ごたえがあった。だが、がむしゃらにコブシを出したからどこに当たったかは分からない。
徐々にかすれていた視力が少しずつ戻ってきた。
あぁ…何故だろう、目に映るものが何だか懐かしい。
それは執事のにやけたツラではない。突如どこからか出てきた、

――――――「イッタいニャァァァ~~~!!!」

白い耳に白い尻尾。透き通るようなエメラルドグリーンの髪の毛をなびかせている少女。いつも顔を会せている少女。そいつが、俺と執事のコブシを両手で握り締めていた。
「レデン…?」
目が合う。
「ふ~っ、ふ~っ!」
だけどすぐに目線が外れた。レデンがしゃがみ込んで自分の手のひらに息を吹きかけているからだ。
「レデン? どうしてこんなところに…」
「ちょっとうっさいニャッ!」
顔を上げたレデンは少し涙目だった。
「ふ~っ、痛かったニャ~」
そしてようやく立ち上がった。
「腫れないかニャ~?」
心配そうに自分の手のひらを見ている。
「って…」
キッとレデンの目が光った。
「いきなり何するニャ~~~!!!」

――――――バコ~ンッ!

「へぶしっ!?」
現在、レデン発射台からケリ出された俺様型魚雷が水平方向に飛行中。直にTreeへ激突予定。3,2,1…着弾。
「って、それはこっちのセリフだぁッッ!!」(口から血を吹き飛ばしながら)
少しツッコミが遅れてしまったが、これはまぁご愛敬ってことで勘弁してくれ。
俺は木に背中をひっくり返した状態で体を預けている。世界が上下逆転して見える。頭に血が上る。あぁ…、キモチワルイ。
木に手を当てながら這いずり上がるような感じで、何とか立ち上がることはできたが、先ほどまでの出血とレデンによる攻撃(コレが一番効いた)で最早ダウン寸前だ。体がフラフラするぜ。
「レデンさんッ? どうしてここにッ?」
マドフェフカも俺と同じようなことを思っていた。
「そうだ…、レデンはここへ何しに来たんだ?」
まだ自分の手のひらを繁々と見ていたレデンは、
「ニャっ? それはご主人様の血の匂いがしたから来たんだニャっ♪」
嬉しそうにそう言った。
「もしかして、俺の危機を感じ取って助けてきてくれたのか?」
「いや、トドメを刺そうと思ってニャっ♪」
「レデンッッッ~~~!!!」
そのまま俺は倒れた。

「おやおや…、貴女も八つ当たりですかな?」
「ニャ?」
レデンが執事の存在に気づいたようだ。
「八つ当たりと言うか…、いつか八つ裂きにしたいニャと思っているニャッ!」
そんな未来宣言しないでくれ。
「それはそれは…。でしたら、一緒に彼を八つ裂きにでもしましょうか?」
「ニャっ?」
俺は顔を地面に押し付けている状態なので、視覚からの情報は入ってこなかったが、女の子の少し驚いたような声だけは聞こえてきた。
「そう言えばアンタ誰ニャ?」
遅すぎる反応だと思ったのは俺だけか?
「これはこれは失礼を…、挨拶が遅れましたね。私はマドフェフカお嬢様の執事をしております。名はございませんので、私のことはどうぞ“じぃや”と御呼び下さいませ」
「執事って何ニャ?」
レデンには初めての言葉だったかな。ふっ…、しょうがないやつだな。俺は最後の力を振り絞り、
「レデン…、執事って言うのはメイドさんの男バージョンのことを言うんだぞ…」
何とかレデンにそのことを伝えることができた。
「へぇ~、世の中にはレデンの知らないことがいっぱい有るんだニャ~」
また1つ学習したなレデンよ…、ガクリ…。
「で、なんでその執事さんがご主人様を殺そうとしているんだニャ?」
「ご主人様…? はて…、お二人はどういったご関係で?」
「そんなことアンタには関係ないニャ。それに今はレデンが質問しているニャッ。ちゃんと答えろニャッ」
って言うか、俺このままだと出血多量で死にそうだなぁ…。
「これはこれは失礼を…。えっとですね、今私は彼に八つ当たりをしている最中なのですよ。ですから、貴女もご一緒にどうかと思いましてね」
「…アンタに一言言っておくニャ」
眠ってしまいそうな俺だったが、まだ眠るわけにはいかない。消え去りそうな感覚を無理やりたたき起こす。そして、俺ははっきりと聞いたんだ。

――――――「ご主人様を殺すのは、レデンただ1人だけニャッ」

「(って、おいぃぃぃ~)」
つっこむ気力も湧かなかった。
「それはそれは…」
クックックッ…と執事から薄ら笑いが漏れている。
「またまた失礼を…。でしたら、獲物を横取りするのは聊か美しくありませんな」
「そうニャッ。横取りするなニャッ!」
「はい、それでは仕方ありませんな。えっと…、新谷先生でしたな」
俺を呼ぶ声がする。
「…何だよ」
ダメだ。体がちっとも動かせないぜ。顔を上げることすらできねぇ。
「八つ当たりして済みませんでした。これからは貴方が自分から私に話しかけてくれるのを待つことにします。ですから、今日のようなことは二度と致しませんのでご安心ください」
「それはどうも…」
くそっ、この野郎を睨みつけたいってのによ…。
「あっ、それと」
まだ続きがあるようだ。

――――――「貴方のせいでお嬢様の身に何かの危険が及ぼうものなら、その時は覚悟しておいて下さい」

「ニャっ?」
直後、レデンがビックリしていた。
「消えたニャ…」
なるほど…、レデンの目にも消えたように映るほどあの野郎は素早いってことかよ。イヤになってくるぜ。

「新谷先生ッ、大丈夫ですカ」
不意に体を起こされ、泥が付いた顔を誰かにハンカチで拭われた。呼吸がしやすくなった。目を開けると、視界全体に涙でグシャグシャになったマドフェフカの顔があった。
「本当に申し訳ございませン。じぃやがあんなことをするなんテ…」
まだ涙が溢れ出ている。俺はそれを指で拭ってあげた。
「お前の執事は凶暴だな」
「いえ…、じぃやがあんなことをしたのを見たのは初めてのことでス。いつもは優しいじぃやなのニ…」
「いつもは優しいじぃやに殺されかけた俺はもっとワケが分かんねぇよ」
マドフェフカの肩に手を置き、立ち上がろうとしたが、
「うぉっ?」
逆に手を取られて肩を押さえつけられた俺は、そのまま倒された。
「まだ動かないで下さイ」
マドフェフカの膝の上に。

「レデンさン、申し訳ございませんけド、野々原さんを呼んできてはもらえないでしょうカ?」
野々原…、何だか最近聞いたことがあるような名前だな。それよりもこの枕モニュモニュしていて気持ちイイ…。
「了解ニャっ。でもその前に」

――――――ムンズッ

「はぅあっ?」
両耳をレデンに掴まれた。
「ご主人様は草枕でいいニャッ!」
「千切れるッ、千切れるッ」
抵抗できないまま、俺は至高の枕から落ちた。
「なんて事をするんだッ」
「それじゃあ行ってくるニャっ♪」
そして風のようにレデンは走り去って行った。

「私も気になったんですけド、新谷先生とレデンさんってどういったご関係なのですカ?」
「え…」
しまった…。レデンのヤツめ。学校内では俺のことをご主人様と呼ぶなとあれほど言っておいたのに。こうなることが何故分からないッ。
「まぁ…、ちょっとした知り合いなんだ」
「ご主人様と呼ばれる関係ガ…、ですカ?」
「まぁな」
「…そうなのですカ…」
ビミョーに気まずい空気が流れた。だけどしばらくすると、
「新谷先生…」
マドフェフカから話しかけられた。
「先生にはヒドイことをしてしまいましタ。本当に申し訳ございませン。ですかラ、ご迷惑をおかけした分、私は先生がやりたがっているメイド喫茶にご協力して差し上げまス」
「本当かッ?」
感動のあまり、俺はマドフェフカの両肩を掴んでしまった。
「はイ…、私にはそれぐらいしか謝罪する手段を思い付かないのデ…」
「いや! 最高の謝罪だぜッ! では早速…」

――――――「って、ナニしているニャッッ~~~!!!」

「キャラボァッ!?」
どこからともなくケリが飛んできた。
「レデンがちょっと目を離すといつもこれニャッ!」
「あの…レデンさン…?」
「無事だったニャ! 良かったニャ!」
まるで恋人同士みたいにレデンがマドフェフカに抱きついた。おいレデン…、お前は誰の心配をしていたんだ?
そんな疑問が浮かぶ中、

――――――「ほえっ? 危なかったのはマドフェフカだったのかね?」

誰かが校舎の横から出てきた。
「あッ、野々原さン。来て下さいましたカ」
マドフェフカが“野々原”と呼ぶ女の子は、長い髪を赤と青色のリボンで1つにまとめていて、度が入っているのかいないのか分からないメガネをかけている。しかし、俺が一番気になるのは服装だ。何だあのボロっちぃ白衣は? 色が白から灰色に進化しているぞ。

nonohara


「うんっ、呼ばれれば来ちゃうのさっ」
そんな格好をなんとも思っていないように、嬉しそうに答えた野々原は、
「おやっ、ケガ人発見っ!」
宝物を発見した時の海賊の如く、うるさい声で叫んだ。
「野々原さン。新谷先生の治療をお願いできますカ?」
マドフェフカは神に祈るかのように両手を野々原に向けて重ねた。
「もちっ、任せてなりっ♪」
コイツの挙動はいちいちおかしい。時雨みたいなヤツだな。
野々原は俺の所まで歩いてくると、パンツが見えるか見えないかギリギリのアングルでしゃがみ込んだ。ふっ…、おい野々原よ。もっとだッ! もっと足をずらしてくれぇッ!
しかし、そんな俺の事なんか気にしないで野々原は話を切り出す。
「新谷先生、はじめまして…かなっ? 野々原千鳥(ののはら ちどり)だよっ。じゃあ、治療するけどその前にここにサインを…」
ボロボロの白衣の内ポケットから取り出されたものは、“誓約書”と赤い字で書かれた一枚の白い紙。
「これは何だ?」
「誓約書なりっ♪」
「何に関してだよッ?」
当然の疑問だよな?
「ん~っ、ここんところ読んでくれぴょん」
突き出された薄っぺらい紙にはこう書かれていた。

「                 
誓約書
(1)私に対していっさい文句を言わない
(2)私はいっさい責任を取らない
(3)私の研究に参加できてチョー嬉しい
NAME_______________
      」

「ねっ?」
紙が視界から消えると、代わりに野々原のイタズラっ子みたいな顔が乗り出してきた。
「何が“ねっ”…だよ! これから何をされるか分かんねぇのにこんな怪しげなものにサインできるかぁ~!」
大声で叫んだ。すると、俺の腹から<ぴゅるっ>と血が少し噴き出した。
「ニャっ? ご主人様から怪しげな液体が出てきたニャッ!」
それを見てレデンが興奮した。耳とシッポが盛んに動いている。
「何だよ怪しげな液体って? 見れば分かるだろうが、血だよッ血ッ<ぴゅるっ>。やべっ、冷静になれ俺」
バカなことをやっているヒマは無いらしい。このままだと「怪しげな液体を大量に放出した学校の先生が死亡」と明日の朝刊に盛大に載ってしまう。それだけは避けなければいけなッ!

「分かったよッ。書くからそれを早くよこせッ」
野々原は、マッドサイエンティストがいいモルモットを見つけたときに浮かべる“ニマ~っ”とした笑みを浮かべた。
「ほいさっ。じゃあここんところに名前を書いてちょ」
俺に手渡せた紙の右下のところには“NAME”と書いてあって、その横に一本の黒い線が印刷されていた。この上に書くのか。
「ペンが無いから血で書いてもいいか?」
「読めるならなんでもいいっぷっ♪」
野々原の語尾に毎回ツッコんでいたら日が暮れてしまいそうなので、俺はスルーする。
「つっ…」
指で腹を少しなぞる。そうすると俺の指には赤い塗料が付着していた。それを紙の上に擦り付け、文字を書く。しかし、漢字を書く力は残っていなかったので、恥ずかしいが平仮名で“かずや”と書いた。
「うんっ、確かにっ♪」
口元に手を当てながらそれをちょっとだけ眺めると、野々原は誓約書を折りたたみ、ボロボロの白衣の内ポケットにしまい込んだ。
「じゃあ、治療するっぽんっ♪」
そして野々原の靴下の中から一本の試験管が取り出された。口にはゴムでできたフタが取り付けられ、そのガラスの中には薄い青色の液体が8割ほど満たされていた。
「美味しそうニャ~」
見ると、レデンがヨダレを垂らしてジーっと試験管を見ていた。その様子を見たマドフェフカは、
「レデンさン。自分の身を危険にさらしたくないのなラ、アレには絶対に手を出さないほうが宜しいと思いまス」
と忠告した。そこで俺の脳に電流がバキューンと走る。その電気信号がもたらした最高の応答はコレだ。
「…おい待て。その忠告は俺に先にするのが筋…」

――――――キュポンっ

試験管を封印していたゴム製のフタが、野々原の手によって解除された。
「新谷先生~。はい、あ~ん」
俺の顔に試験管を近づけながら、野々原も“あ~ん”の口をしながらその妙艶な顔を近づけてくる。あぁ…、この差し出されたモノが試験管じゃなくて、暖かいカレーライスならどれだけ幸せなことか。それに、
「ちょっと待て…。何やら試験管から青い湯気が立っている様に見えるのは気のせいか? それに臭いもやばくないかコレ? なんだか死臭っぽくねぇか? ってレデン? 何で俺の口を開けさせようと力を込めているんだッ。い…痛いぞッ。むっ? マドフェフカも何で悲しそうな顔をしながらも俺の体を一生懸命に押さえつけているんだ? えっ、何? “本当に申し訳ございませんでしタ”? だったらこの行為が最も失礼だぞッ! 離せッ! くそっ、力が入らねぇ! うぉっ、来るッ! 怪しげな液体が来るッ! 明日の朝刊に“怪しげな液体を大量に流し込まれた学校の先生が死亡”と盛大に載ってしまうッ! それだけは避けなければバババババァアァァァッッッ~~~!!!」




(次回予告)

野々原の薬を飲んでしまった和也の運命やいかにッ!?


それにしても…、一日休みがあるって言うのはサイコーですよ。サイコー♪

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この記事に対するコメント

や、休みだとう!?(何
こちとら休日出勤でへばってますが…orz
…やっぱり、薬を飲むと、猫耳とか猫耳とか猫耳とか尻尾とか尻尾とか尻尾とかはえてくるんでしょうk…(毒殺

【2006/07/01 23:16】URL | きつねこ #-[ 編集]

>きつねこさん

休日出勤ッ!?
それはご愁傷様でしたッ!w

ん~っ、ネコミミ化とかも考えましたけど、それはまたの機会にっ♪

【2006/07/02 00:22】URL | シミコン #-[ 編集]

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